焦点:川内原発地元の避難計画に批判噴出、弱者対策なく不安募る
[いちき串木野市(鹿児島県) 30日 ロイター] - 九州電力(9508.T: 株価, ニュース, レポート)川内原発の再稼動をにらみ、鹿児島県と立地周辺自治体が策定した避難計画に対し「事故が起きても役に立たない」との批判が、地元の住民や災害対策の専門家から噴出している。
特に批判が集まっているのが、高齢者や乳幼児など「避難弱者」への対応だ。行政による対策はほとんど手つかずとの指摘も出ており、年内に川内原発が再稼動するとみられる中、不安を募らせる近隣住民や周辺自治体から再稼動に反対する声が強まっている。
<避難計画、細部詰められない行政>
「弱者、要援護者に対する態度をしっかりと考えてほしい」──。今月18日、原発が立地する薩摩川内市に隣接するいちき串木野市(人口約3万人)で、県の防災計画と市の避難計画に関する住民説明会が行われた。地元の住民約130人が詰めかける中、市内で社会福祉施設を経営する江藤卓朗さん(57)が、説明会に出席した県、市の担当者に迫った。
いちき串木野市は東シナ海に面した漁業の町。さつま揚げを作る水産加工の工場や焼酎造りの蔵も建ち並び、「海岸線の夕日は最高」と地元住民が自慢する。
その住民らは川内原発に事故が発生した場合、県南側の南九州市、指宿市、枕崎市、鹿児島市の4市に避難するよう避難計画で指定されている。
だが、避難先の多くが学校や体育館などで、高齢者の長期避難には不向きな場所だ。江藤さんは「(老人向けの)施設が避難先の各市でたくさん余っているという話は聞いていない」と述べ、不安感を募らせた。県や市の対応に懸念を隠さない住民からの問い掛けには、実は伏線があった。
鹿児島県が2013年度に策定した原子力防災計画では、原発から30キロ圏にある病院の患者や、社会福祉施設に入居するお年寄りなど「要援護者」の避難計画について、県が病院や社会福祉施設に対して策定を求めている。 続く...
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