登録して、机の周りにアイコンに使えそうなものを探した。その時、一枚
の絵葉書のお猿が目配せしてきて顔をアップしたが、出汁の染み込んだ煮物
しかりのトーンでいまいち冴えないと感じたのはそれから半年後 (おっそ!)、
アイコンを変更できるという選択肢を知り見直してみた件。けどやっぱり変
えんとことだんだん思うのは、この猿顔にけっこう自分が出ている気がする
からだ。本日は皆さん限定で (ほか誰?) このお猿の全貌をお見せしよう。
© 1996 Museum Charlotte Zander Schloß Bönningheim
アンリー ルソー『Le singe comme peintre』1903/1910年
絵描くお猿でごザル。壁に掛かる絵の絵描いて笑っとる。題名は絵描きに
なってみた猿といったところか。画家ルソーは、生い茂るジャングルに人や
動物が佇む世界を描くナイーヴ作家として知られる。私も数年前のある日ま
でこの人の知られているような絵しか知らなかった。
その日私はいつものように道に迷いながら南ドイツのどこかを旅していた。
さまよいながら辿り着いたのは、ボェニッヒハイムという古くて小さい町に
あるナイーヴ絵画の美術館だ。館内の壁という壁に惜しみなく掛けられた作
品群は、シャロッテ ツァンダーという婦人が生涯かけて集められたのだとか。
百年ぐらい前、正統派絵画の次を求める愛好家の間でルソーのような独学
の人が描いた絵はナイーヴと呼ばれ流行る。その後さらに枝分かれをし自閉
症患者の描く絵なんてジャンルも現れるから、何かと分類別けしたい人間の
性分とはまったく面白いものだゼ、ケヘ、そう笑うかのようにルソーのお猿
は廊下の隅に掛かっていた。正直、絵面は好みでないが知られるルソーとは
異なった画風、そしてなによりもナイーヴの名に媚びず、甘んじずなところ
が気に入った。
ツァンダー美術館ではその時、セラフィン ルイ (Séraphine Louis) という
やはり独学の人の特別展が見られた。彼女の絵は強烈だ。架空の花がうぎょ
うぎょーっとうごめくのだ! 草間弥生どころではない。セラフィンの作品
は1930年から15年程、パリでもニューヨークでも発表され専属の画商を富
ませたりしたらしい。2008年、彼女の半生が映画にもなったが、こちらは
後半ベタすぎて個人的にはお勧めできない。以下ネタバレにて白字:
念願の個展は引き延ばしとなる。戦争が勃発したせいだったが (画商は敵
国のドイツ人) セラフィンは、それを彼との妄想恋愛の終止符と受け取め、
花嫁衣装で夜道をほっつき歩き、たったそれだけで!精神病院送りに。そこ
で生涯を終えるのだが、だからどうって話だ。もし事実だったとして、沢山
のセラフィン絵画に宿る今日もうごめく純粋無垢に変わりないではないか!
社会は心の病んだもんの作品をなぜか「特殊」という付加価値つけて見た
がるし見せたがるようだ。でもルソーやセラフィンがピカソやルノワールに
比べウブでヘンで危ナかったかというと、どうだろう。来る日も来る日も絵
なんか真剣にやってる人間ってのはたいがいが、自分は世の中で一番まとも
だと思っているわけで、、。
皆さん、ご存知ですよね。キ○ガイは自分の事を絶対キ○ガイだと認めな
いっての、笑 ⇄ 汗。
ああ、今日もいい汗かいた(違う、違う!笑)
ちょっと前、ツァンダー コレクションが整理され、美術館も閉じられると
新聞で読みました 。さあルソーのお猿はどこへ旅するのでしょうか。皆さん、
いつかどこかで彼を見かけたらこそっと私に教えて下さいな。
美術ネタが重なりましたね。次回は自制して一週間ほど先に
2014年 6月30日
温泉卵が作れない でした