東京国税局:ゴルフ会員権で不正還付…40人追徴へ

毎日新聞 2014年06月30日 07時30分

 経営破綻したゴルフ場の会員権を巡り、東京都港区の売買仲介会社「アシストゴルフ」から破綻前に売買したことにすれば所得税の還付が受けられると持ちかけられ、不正工作に応じた約40人について、東京国税局が不当な還付に当たるとして追徴課税を進めていることが分かった。ア社に安価で売却したように装うことで、購入価格との差額が「譲渡損失」に当たるとして所得税の還付を受けていた。国税当局はゴルフ場が破綻した時点で会員権は無価値で、資産の譲渡とは認められないと判断した模様だ。

 ◇破綻後売買し損失装う

 関係者によると、ア社は運営会社が2010年6月に東京地裁から破産手続き開始決定を受けて破綻したゴルフ場(埼玉県)の会員名簿を入手。それを基に会員権の買い取りを持ちかけていたという。約40人は売却価格が購入価格を下回ったとして最寄りの税務署に所得税の還付を申告。還付額は1人当たり数万〜500万円とみられ、総額は約2000万円に上るという。

 会員権の売買で損失が出た場合、今年3月までは譲渡損失として他の所得から差し引く「損益通算」ができた。しかし、破綻したゴルフ場の会員権については資産の譲渡とは認められず損益通算できない。このため、ア社は買い取りの日付を破綻前に仮装していたとみられる。この仕組みは14年度の税制改正で廃止されている。

 アシストゴルフの社長(65)は毎日新聞の取材に対し、「何もお答えできない」と話した。民間信用調査会社の帝国データバンクによると、ゴルフ場経営業者の倒産は預託金の償還期を迎えた2000年代に急増。01〜10年は577件に上り、1991〜00年の5倍以上に上った。【太田誠一】

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