女性が声をあげられる環境作りのために、女性たちよ、もっと怒れ!

2014年06月26日(木) 原元 美紀
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一方女性は、

「突然のことでびっくりして反応できなかった」

「もっとひどいことをされたら怖いから止めて欲しいと言えなかった」

そして、「自分が恥ずかしい思いをしたことを認めるのは辛いから、『笑って』平気な振りをするしかなかった」と泣く。

そう、ほんとうは最初から最後まで嫌だったのだ。

セクハラ前夜

鈴木議員のプロフィールが明らかにされ、現在51歳で、結婚をし、子供も3人いるということを知り、「なぜ?」と不思議がる声も出たが、なんのことはない。

セクハラという言葉が日本に浸透し始めたのは、1990年頃、日本初のセクハラ裁判がきっかけだといわれている。1989年に新語・流行語大賞の新語部門で金賞を受賞し、1992年には、職場のセクハラを訴えた原告女性の全面勝訴に終わっている。

鈴木議員もセクハラという概念が浸透する以前に働き出していた「オジサン世代」であるし、そもそもセクハラ行為をする男性は、私自身の経験からどちらかというと既婚者に多いように感じるからだ。

自分も独身なら「お前が早く結婚しろ」なんてヤジも言うまいし、お触りでもしようものならシャレでは済まされないもの。持てる者のちょっとしたお遊びやシャレとして、「オジサン世代」の一部にはまだまだセクハラ気質が残っているように思える。

私が新人アナウンサーとして放送局に入社した頃、職場にはまだセクハラという概念は浸透していなかった。

女子アナのお尻にタッチすることで有名な上司が、例年通り私たち新人女子アナを待ち構えていることを知り、ゾッとした。

「先輩たちはどうしていたのだろう。お知恵を拝借したい」と聞くと、これまでの先輩アナたちはみな優しく「コラコラ」といなすのが伝統だとのことだった。その上司はこれが職場でのウケるコミュニケーションの取り方だと信じている。

とんでもない!

私は先手必勝とばかりに、その上司に向かって「お触り好きと聞いていますが、私には触らないでくださいね」と言った。

その時のその上司の顔は今でも覚えている。息が止まったかと思うほどギョッとして私を見ていた。

それは、入社したての小娘が楯突いてきたことに驚いたというものではなかった。機を見るに敏な人だったので、「もうこのノリはウケないのだ。新しい時代になったのだ」ということを悟ったようだった。

以来、女子アナへのお触りと昔の自慢話を一切しなくなった。これはこれであっぱれな上司であった。

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