「表面の加工処理などの出来はよくないが、おおまかな形状は間違っていないようだ」。米アップルのモノ作りに関わるある人物が、日経デザイン誌が入手した次期iPhoneとされるモックアップ(製品デザインを検討する際などに使う模型)を見た時の第一声である。このモックアップは、iPhoneの修理部品を扱う中国の通販サイトから手に入れた。本記事では、アップルのモノ作りに関わる人物や、製造委託先などを通じてアップルのデザイン情報を持つ競合メーカーのデザイナーなどとともに、iPhoneのデザインの方向性を探る。
多少の出来の悪さは覚悟の上で購入した、次期iPhone(通称「iPhone 6」)の中国製モックアップ。アルミニウム合金を陽極酸化処理した表面は、粗くざら付いていた。本体側面のボタン周りの穴はバリ(切削などの加工後にできる不要な出っ張り)の跡が見え、アップル製品に特徴的な丁寧な研磨の跡が全く見えない。ボタンと穴との間隔もすき間だらけだった。
また、本来ならガラスパネルであるはずのディスプレー部は歪んだ透明の樹脂。それをアルミ製ボディーにはめ込む白い樹脂製のフレームが、分厚くはみ出したようにディスプレー部を取り囲んでいる。おそらく本物の図面をもとに、外装部品の製造ノウハウのない工場が作ったのだろう。
■ディスプレーに曲面ガラスを採用
このように、今回入手したiPhone 6のモックアップの完成度はけっして高くはない。それでも、冒頭のモノ作りに関与する人物や競合メーカーのデザイナーの意見を総合すると、実際のiPhone 6でも大まかなデザインはこの通りになる可能性が高そうだ。
このモックアップと現行の「iPhone 5s」とを比較して、最初に違いが分かるのが本体側面の角につける丸みの処理だ。iPhone 5sのように板状の側面の両角を45度に削ってダイヤモンドカットを施すのではなく、携帯音楽プレーヤーの「iPod touch」を思わせる丸みを帯びた処理に変更されている。
金属の持つ輝きを強調して製品の高級感を高め、時計を思わせる精巧なデザインだったiPhone 5sに対し、iPhone 6は手にしっとりとフィットする形状になる。もともと同社のデザインチームは、丸みを帯びたステンレス製の第4世代iPod touchを特に好んでいたと言われている。そうした柔らかいデザインを、アルミ製ボディーで実現しようと考えたのが、今回のiPhone 6のデザインのようだ。
このデザインの魅力を高めるときにカギとなるのが、ディスプレー側のデザイン処理だろう。モックアップでも若干ディスプレーのパネルが丸みを帯びているのが分かるが、アップルは曲面ガラスを採用する可能性が高い。
iPhone、アップル、iPod touch、アルミニウム合金、曲面ガラス
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