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安倍政権が「成長戦略」のひとつとして、事実上の外国人労働力の活用強化を…
安倍政権が「成長戦略」のひとつとして、事実上の外国人労働力の活用強化を決めた。
「日本で働きながら技能を身に着け、本国に戻って活躍してもらう」とうたう技能実習制度の拡充が柱だ。最長3年の期間を5年に延ばし、対象も今の68職種に介護、林業などを加える方向だ。「諸外国の要望も踏まえて」と言うが、人手不足対策であるのは明白だ。
特に人手が足りない建設業では先に、「特定活動」ビザを合わせて5~6年に延ばす応急措置を決めた。これを造船業にも適用する。両業界には塗装など共通する作業が多く、人集めで不利になると見た造船業界が要望したという。
あまりに場当たり的な、継ぎはぎ対応にあきれるばかりだ。
技能実習制度では低賃金や残業代の不払い、違法な労働、暴行など問題が山積みだ。米国務省の報告書でも「強制労働の事例がある」と指摘された。政府は監視を強化し、期間の延長は優良な受け入れ先に限ると説明するが、問題の解消が先だ。
政権は一方で「移民は受け入れない」と繰り返す。
移民に関する確立した定義はないものの、かつて国連が「通常の居住地以外の国に移り、少なくとも12カ月間住む人」と示したことがあり、今もしばしば引用される。
これに照らせば、技能実習生も「移民」だ。実習生なしには成り立たない業界や地域も少なくない。現在、約15万人。目の前の現実の課題として、外国人と暮らし、ともに働く社会を目指すべきだ。
新しい問題ではない。地域では、ブラジルを中心とする日系人に関して、多くの課題を抱えつつも「共生」に向けた取り組みが続いている。
バブル経済期の人手不足を背景に急増した日系人は、08年のリーマン・ショックで急減したが、ブラジル国籍者だけでなお20万人近くが暮らす。定住者ビザを出してきたのに、失職を理由にお金を渡して帰国を促したことが厳しく批判された。
政府が3月に改定した定住推進策は「地域社会の一員として受け入れる」ことを強調する。日本語教育の充実をはじめ、自治体や自治会、NPOと連携した多様な取り組みの必要性を指摘している。
推進策も言う通り、これらは日系人だけでなく、日本で暮らす全ての外国人にあてはまる。
移民か、そうでないか。労働者か、技能実習か。身勝手な言葉の使い分けはやめて、現実を直視すべきだ。
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