dp2 Quattroがきた!!
ツイート待ちに待ったdp2 Quattroが来ました。朝、目覚ましもかけてないのに早朝に目が覚めてします、ずっとそわそわして、遠くから宅配のトラックの音が近づいてきたら玄関まで走って行ってしまうくらい楽しみでした。子供か!
僕はずっとApple製品を開封する瞬間が何より好きでしたが、Macは仕事の道具という面が強くなり、iPhoneはもはや誰もが持っている完全な日用品で、今でも大好きですが、楽しさより安定性や便利さを求めるようになってしまって、ワクワク感は少しトーンダウンしました。そんな時にSIGMAのカメラと出会って、純粋に欲しいから、というだけでガジェットを買う楽しみが戻ってきた気がしてとても嬉しいです。
純正フードを付けてみた。
dp2 Quattroは新しいFoveonセンサーを搭載したカメラで、現行のDP Merrillと比較して、サイズを犠牲にして持ちやすさに特化した独特の形状になり、解像度や暗所での画質が上がり、より尖った性能のカメラになりました。
僕はDP Merrillのさらに一世代前のセンサーを積んだDP2sで初めてFoveonセンサーに触れ、カメラの扱い方についてとてもよい勉強ができました。
一言で言うと、SIGMAのカメラの最大の長所は、的確に失敗できる、という事だと思います。今のデジカメはオートフォーカス、手ぶれ補正、顔認識、逆光補正、シーン別のパラメータ最適化など自動化が進んで、シャッターを押しさえすればまず失敗なくきれいな写真を撮る事ができます。
SIGMAのカメラはそれらの機能が非常に弱く、正しくない撮り方をすれば、何がどう正しくなかったのかが的確に分かる形でダメな写真が撮れます。構え方が悪ければ手ぶれするし、F値やシャッタースピードが適切でなければ、やはりぶれたり、ノイズが乗ったりします。
F値とシャッタースピードとISOはものすごく荒っぽく言えば、あちらを立てればこちらが立たず、といった関係にあり、シャッタースピードを上げればぶれづらくなりますが、画面が暗くなり、F値を小さくすれば明るくなりますがピントの合う範囲が狭まってボケやすくなり、それらを回避しようとすればISOが大きくなり、ノイズが増します。最近のデジカメは高感度性能が上がって、ISO6400とか12800とかでもそこそこ見られる画が撮れるのですが、SIGMAのカメラはISO400でノイズが気になりだし、800でもう駄目(モノクロだともう少し行ける)という状態で、必然的に低感度でできるだけぶれさせないようにどうパラメータを追い込んでいくか、という計算や工夫が必要になります。
日陰や室内に入った瞬間『あ、ここで普通に撮るとISO400超えるな』と勘が働くようになったり、そこで感度を上げるかF値を下げるかシャッタースピードを落とすか、シャッタースピードを落とすならどこかにカメラを固定できないか、など、色々考えるようになります。
僕にとってはその事がカメラの構造や、F値やシャッタースピードを変えた時に画面がどう変わるかを理解する大きな助けになりました。
そしてSIGMAのカメラは、正しく撮る事ができればこのカメラでしか撮れない、と思えるような驚異的な解像感のある写真が撮れます。
道具の進化には二種類あります。ひとつは作業に熟達しなくても目的が達成できるように作業を簡略化する進化、もうひとつは熟達するほど結果が良くなるように最高性能を上げてゆく進化です。
多くのカメラが前者の進化に力を入れる中、dp2 Quattroは完全に後者の進化のみに特価した稀有な製品です。Merrillと比べるとAFが速くなったり高感度性能が一段上がったり、利便性も上がっているのですが、頭を使わなくて済むようになった、というよりはより工夫のしがいのある方向へ進化したと思います(もちろん前者の進化も大切です。大事なイベントとか旅行とか、失敗できない場面で確実に撮れる事は大きな意味があるので)。
僕はSIGMAのカメラに出会わなかったら、今でもカメラの仕組みがよく分からないまま、便利なカメラの便利な全自動モードで、ただ何となくメモ代わりの記録装置としてカメラと接していただろうなと思います。
DP3 Merrillの時にも書いたけど、SIGMAのカメラは難しくて初心者お断り、的な事をよく言われるけど、自分の個人的な体験から言うと、SIGMAのカメラは初心者が『設定はカメラにお任せ』状態から一歩踏み出す時に手にするべきカメラじゃないかなと思います。
そんなわけで、そういう初心者の写真をずらずら並べてもdp2 Quattroの凄さはあまり伝わらないかもしれませんが、凄いカメラですよ。
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