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 「平和・友好の使者」として、昭和初期に米国から贈られ、戦争を挟んで数奇な運命をたどった青い目の人形が福岡県糸島市の小学校に保存されている。その青い目が見つめた戦争をテーマにしたDVDを、平和劇の上演活動を続けている同市の市民グループ「いとしま8・6平和劇」(江川佳世代表)が制作した。「平和教材として役立ててほしい」と市内の全ての小中学校と公民館に贈った。

 宣教師として長年、日本に滞在した米国人シドニー・ルイス・ギューリック博士らが1927(昭和2)年、日米友好を目的に全国の小学校や幼稚園に約1万2千体の人形を贈った。糸島市の可也尋常小(現・市立可也小)には「ルース」という名の人形が届き、学校側は式典を開いて歓迎した。

 しかし41年12月、太平洋戦争の開戦で、日米友好の象徴は一転、「敵国人形」に。全国の人形は、竹やりで突かれたり、足で踏みつけられたり、火をつけて燃やされたりして、壊されたという。同小にも、人形を処分するよう当局から指示があったとされる。

 戦後、人形の存在は長く忘れられたままだったが、79年に校舎が改築された際、裁縫室の天井裏から偶然発見された。児童がつづった歓迎の作文集も一緒だった。だが、64年に出された同小の90年史には人形に関する記述は一切なく、当時の事情を知る学校関係者も、多くは口をつぐんだまま亡くなっていて、どういう経緯で人形が残ったかは分からなかった。