福島のHAPPY世界へ 地元の女性が動画発信
米国の男性歌手ファレル・ウィリアムスさんの大ヒット曲に乗せて踊り、動画サイトで発信する「HAPPY」シリーズの福島版が、世界の関心を集めている。福島市在住の女性が地域に呼び掛けて作製し6月初めに発表すると、1カ月近くで全世界から40万回を超す閲覧があった。福島第1原発事故に向き合いながら暮らす人々の笑顔や躍動感が、共感と反響を呼んでいるようだ。
福島市を中心に約100人の住民が出演する。親子、仲間同士、JR福島駅長、福島市長、僧侶らが次々と登場し、レトロ・ソウルのテイストが漂う「HAPPY」に合わせ思い思いに踊る。
福島の名所などを背景に、それぞれの幸せを笑顔や振りで表現した。1カット数秒で、80カットを4分間の曲の中でつないでいる。
福島版の作製は、福島市にあるソーシャルメディア研究所の社長熊坂仁美さんが思い立った。地元の仲間に5月上旬、「(原発事故で)誤解を受けやすい福島の元気とハッピーを世界に発信したい」と提案。賛同を得て出演者の検討、撮影、編集と一気に進めて5月末に完成させた。
「福島ではほとんどの人は普通にハッピーに暮らしている。地域愛も強い。HAPPYの動画ならその空気をそのまま伝えることができると思った」と熊坂さんは語る。
2日に動画投稿サイト「ユーチューブ」にアップしたところ、再生回数はぐんぐん伸び、28日現在で約41万回を数える。寄せられるコメントも英語をはじめ外国語のものが多い。
「素晴らしい幸せ!」「笑顔を見てハッピーになった」といったメッセージの一方で、「福島がハッピー?」などのコメントも。世界から注目を集めていることは確かで、熊坂さんにはロシアやブラジルなど各地のメディアから取材の電話やメールが相次いでいる。
「HAPPY」は昨年11月にリリースされた後、それぞれの地域で動画撮影して発信することが世界的なブームとなった。熊坂さんは「地域から世界につながる動画のパワーを感じた。HAPPY福島をより多くの世界の方に見てもらえたらうれしい」と話している。
2014年06月29日日曜日