日曜日ですが、つらつらとメディア論を書いてみます。


記者は個人で食べる時代になる

さんざん言われていることですが、これからの記者は個人性を強く打ち出していかないと、生きていくことが難しくなります。最近は各種新聞でも署名記事が増えてきたみたいですね。朝日新聞などはツイッターも積極的に活用しています

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背景にあるのは、①ソーシャルメディアの台頭によって個人が影響力を持つことができる(&収益化できる)ようになったこと、②メディア企業の経営が厳しくなってきたこと、の二つが指摘できると思います。この二つは相補的な話で、メディアも個人も、生き延びるために個人の影響力を最大化させようとしているわけですね。

個人レベルで生計が立っているライター・ブロガーも増えているように感じます。最近だと1989年生まれのタクスズキさんが、若いのに独立しちゃってます。彼、サラリーマン時代からブログで月間30万円くらい稼いでいる化け物です。朝日新聞の記者のみなさんとか、ぜひ見習った方がいいと思います。

かくいうぼくも、個人で食っているライターです。執筆活動のみで、概ね500万円程度の売上が立っています。自主財源で、個人だからできることを存分に追及できるというのは、今は本当に良い時代ですね。


個人ライターの収益は、再投資が難しい

ここまではおさらい。ぼくが最近考えているのは、メシが食えるようになった記者たちはどのようなキャリアを歩むのか

まず前提として、個人で発信している場合は、お金を儲けたとしても再投資するのが難しいという事情があります。ぼくのブログもそれなりに利益が出ていますが、このブログに資金を投下するのって、マジで難しいんです。


どういうことか。お金の使い道のひとつは「スタッフとコンテンツを増やす」ことですが、個人ブログである以上、外部の編集者やライターを巻き込むのはなかなかどうしてやりにくいんです。そもそもそれは読者が望んでいない気がします。

津田さんのように「メディア型のウェブサービスを作る」という道もありますが、それはそれで仲間を増やさなきゃいけなくて、マネジメントの工数が発生してしまいます。ぼくは文章を書くために独立したのであって、プラットフォームを作りたいわけではないんですよね。その意味で、津田さんはライターというより、プロデューサー側の人材だと思います。

あとは「取材にコストを掛ける」という道がありますが、ぼくは戦場ジャーナリストでもなし、そこまで取材にお金は掛かりません。そもそも取材が執筆活動のメインでもありませんし…(実際、このブログにおける取材コンテンツは1割以下です)。


というわけで、個人のライターというのは、お金を稼いでも、いまいち使いどころがないんです。せいぜい秘書とか経理とかを雇うとか、多分それくらい。

これ、佐々木俊尚さんなんかも同じ課題に直面していると思ってたりします。佐々木さんなんかも、発信は完全に自己完結です。外部の編集者や記者をがっつりコミットさせて情報発信をしていく、というのはあまり想像できません。


個人ライターはどのようなキャリアを歩むのか?

ではこういった再投資にまつわる悩みを抱えるライターは、どのようなキャリアを歩むのでしょう。


有力なラインは「外部のメディアに投資家・アドバイザーとして関わる」という方向だと考えています。

そう考えて、ぼくは「ラジおこし」のアドバイザーを始めました。ぼくがオリジナルのコンテンツを提供しているわけではなく、制作資金のサポート、サイトの運営やコンテンツの拡散を支援している、という感じです。アドバイザーという仕事は、感触的にはとてもいいです。この感じで、あと5〜6媒体、手玉を増やしていきたいと考えています。


例に挙げた佐々木俊尚さんも地味に「TABILABO」の編集長になっていたりします。コンテンツを書いているわけではなく、あくまで上位レイヤーの編集やコンテンツの拡散で関わっているように見えます。もしかしたら創業資金も入れているのかも?

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Umekiさんあたりも、こっちの方向性に行くんじゃないかな、と個人的に想像しています。彼は投資については専門的に記事を書いていますし、自らが投資家となるという道は合理的な選択であるようにも見えます。


「記者が特定のメディアに加担していいのか!」みたいな議論もあると思いますが、なんというか、それは古い考え方だと思うんですよね。「このメディアに投資している/アドバイザーをやっている」という側面も含めて、その記者の人格が成り立っているわけですから(その意味で、どのメディアに投資をしているかは基本的に明示すべきだと思います)。


個人として食べていけるライターが、メディアインキュベーターになる。そんな道を歩むスターライターが増えていけば、日本のメディア界はもっと面白くなると思うんですよね。まずはぼく自身がロールモデルを作るため、小さく実験を始めてみようと思います。もうちょっと売上規模も大きくしていこうかな…。

とりあえず「ラジおこし」は編集長のしもつー氏が徹夜で頑張っておりますので、応援していただけると嬉しいです。良いメディアですよ、ここ。



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