雌の好み:「強い」雄より「求愛上手な」雄 岡山大チーム
毎日新聞 2014年06月28日 10時38分(最終更新 06月28日 23時40分)
昆虫のオオツノコクヌストモドキ(体長約5ミリ)の雌は、戦いに強い雄より、求愛の上手な雄を好むことを突き止めたと、岡田賢祐(けんすけ)・岡山大助教(進化生態学)らのチームが英王立協会紀要電子版に発表した。雌は強い雄を好むという定説を覆す発見として注目される。
オオツノコクヌストモドキは穀物を食べる害虫で、国内では本州と九州に分布。観察のしやすさなどから実験でよく利用されている。チームは1000匹以上の行動様式を詳細に観察し、孫の代以降にどんな特徴が受け継がれているかを調べた。
その結果、戦いに有利な大きなあごを持つ雄よりも、足で雌の体をたたく回数が多いといった求愛行動が上手な方を雌が選ぶ傾向があることが分かった。雄のあごを大きくする遺伝子は、雌では産卵数を減らす働きがあり、次世代以降では繁殖の上で不利になるためとみられる。
従来、雌が強い雄を選ぶのは、餌場を確保し、強い息子を産んで自分の遺伝子を残すためと考えられてきた。岡田助教は「強い雄より、求愛上手な相手を選んで自分の遺伝子を残そうとしているのではないか。理にかなった行動で興味深い」と話す。【大場あい】