[PR]

 28日まで開かれていたロシアのモスクワ国際映画祭で、熊切和嘉(くまきりかずよし)監督(39)の「私の男」がグランプリ(最優秀作品賞)を、主演の浅野忠信さん(40)が最優秀男優賞を受賞した。日本作品のグランプリは1999年の新藤兼人監督「生きたい」以来、日本人の男優賞は83年の加藤嘉さん(神山征二郎監督「ふるさと」)以来となる。

 公開中の「私の男」は、浅野さん演じる男が20代半ばで遠縁の娘(二階堂ふみ)を引き取り、16年にわたって禁断の関係を続けながら、寄り添うように生きていく物語。桜庭一樹さんの直木賞受賞作を原作にしている。

 熊切監督は98年に「鬼畜大宴会」で監督デビュー。近年は「海炭市叙景」「夏の終り」など文芸作品の映画化で力量を示している。浅野さんは90年に「バタアシ金魚」で映画デビュー。大島渚監督「御法度」や山田洋次監督「母べえ」など日本を代表する監督の作品に出演を重ね、2011年にはハリウッドデビューも果たした。

     ◇

 〈熊切和嘉監督の話〉 「私の男」は企画段階から完成に至るまで、様々なトラブルに見舞われた映画でした。それが、モスクワ国際映画祭でグランプリ&主演男優賞だなんて、神様もいたんだなあと。最高です。映画監督になって15年になりますが、結果的に「私の男」が今までで一番、「やりたい放題」やらせていただいた映画でした。映画を志していた少年時代に抱いていた思いが、確信に変わりました。これからは、より気合を込めて「やりたい放題」やっていこうと思います。スタッフ、キャストはじめ、この映画に関わった全ての人に感謝致します。本当にありがとうございました。

     ◇

 〈浅野忠信さんの話〉 とてもうれしいです。この作品に対しての意気込みや思い入れは、誰にも負けないものでしたし、役作りに関しても、与えられた時間を生かし見えてくるものが大きかったため、力が入ってました。正直思い入れが強すぎて、焦ってしまったり、熱くなりすぎてしまうことがありました。まさかこんな形で報われるとは思っていなかったので、今は素直に皆さんに感謝しております。自分はまともでない時もありますが、自分の好きなことに対しての情熱を強く信じております。ですからどうかこれからも見続けていただけるとうれしいです。