2014-06-29-Sun
いつから「マイノリティ」が少数派のことだと勘違いしていた?
声高に叫ぶな! - シートン俗物記というエントリのはてなブックマークで、以下のようなコメントを発見。
snailslow 「女性」は日本人の50%近くを占めるのでマイノリティじゃないのだ。そのへんからして認識がおかしい。 2014/06/28
はてなブックマーク - 声高に叫ぶな! - シートン俗物記
まだこんなこと言ってる人がいるのかと嘆息。
「マイノリティ」は英語だから、以下、英英辞典から引用してみます。わかりやすいあたりで、メリアム・ウェブスターの子ども向け辞典にしておきました。(強調は引用者によります)
- : the state or period of being a legal minor
- : the smaller number; especially : a group having less than the number of votes necessary for control
- : a part of a population that differs from other groups in some characteristics and is often given unfair treatment
Definition of minority - Merriam-Webster's Student Dictionary
差別問題において女性をマイノリティと呼ぶのは、この3番目の意味、つまり「母集団の中で、なんらかの特徴において他の集団と違っており、しばしばアンフェアな扱いを受けている人々」という意味においてです。日本の女性がジェンダーという特徴のために「アンフェアな扱いを受けている」ことは、都議会のヤジ事件を見ても、そもそも議会での女性議員比率が他の先進国に比べ極端に低いことを見てもすぐわかるはず。シートン俗物記さんで言及されている通り、女性差別はマイノリティ問題でしかあり得ません。
辞書だけがソースでは納得しない方々のためついでに紹介しておくと、DePaul大学のRichard T. Schaefer名誉教授はマイノリティ集団を「有力な集団またはマジョリティの集団のメンバーに比べ、有意に支配力や権力が少ない下位集団」と定義し、「数の上での少数派だけとは限らない。例:女性、南アフリカの黒人、1920年代のミシシッピやサウスカロライナの黒人」と説明してます。
さらに、日本語版Wikipediaの「社会的少数者」の項目にも、こんな説明がありますね。
数としては少数でなくても、差別や構造により社会的に弱い立場におかれている場合には「マイノリティ」と呼ばれることがある。たとえば女性がマイノリティであるという主張は一般的である。
社会的少数者 - Wikipedia
というわけで、人数の問題じゃないんです。差別や公正さの話をしているのに、単に頭数が50%近くを占めているというだけの理由で女性は「マイノリティじゃない」ととらえる方が、よっぽど「認識がおかしい」と言えます。こんなところから説明しなきゃいけないとはね。