【パリ=共同】フランスでインターネットによる書籍販売に関して、配送無料サービスを禁止する法案が議会で可決した。“反アマゾン法”とも呼ばれ「文化の保護」を理由に米ネット販売大手を実質的に狙い撃ちするものだ。
「わが国が持つ本に対する深い愛着を示した」。法案が上院を通過した26日、フィリペティ文化・通信相は語った。
目的はフランス全土に約3500ある小規模書店の保護だ。「町の本屋」を文化の担い手と位置づけグローバル企業の攻勢から守ろうとの趣旨だ。無料配送は禁止され、値引きは商品を書店で受け取る場合に限られる。
フランスの印刷された書籍販売のうち、ネットによるものは17%。そのうち70%はアマゾンが占める。同社は配送無料と、法律で認められている上限の5%の値引きを併せて行うことで一気にシェアを拡大した。
フランス書店業組合によると、フランスではアマゾンも含めてネットによる書籍販売で利益を上げているところはない。同組合は「アマゾンのやり方は市場獲得を目的とした不当廉売だ」として規制を求めてきた。アマゾンは「消費者に不利益をもたらす」と反論していた。
フランスメディアによると、同国の書店数は人口比で「世界一」。フィリペティ文化・通信相は昨年、「フランスの書店網は言論・出版の多様性を保障するもの」とし、900万ユーロ(約12億5千万円)を投じて小規模書店の保護・振興策を打ち出した。
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