海外業者を通じて、外国の通貨を売買する外国為替証拠金取引（ＦＸ）に投資した人から「利益が出ているはずなのに口座から引き出せない」といった苦情が全国の消費生活センターに寄せられ、2013年度は過去最多の132件に上ったとして、国民生活センターが注意を呼び掛けた。

　国内業者がＦＸの自動売買ソフトを顧客に売り、海外業者との取引を指示するのが典型的な手口。苦情のあった国内外の業者はＦＸに必要な金融商品取引業者の登録がなく、詐欺の疑いもある。

　国民生活センターによると、09年度に34件だった海外業者を通じたＦＸ関連の相談件数は、12年度（98件）から急増。30～50代が約３分の２を占め、口座に６千万円を入金しながら、全く引き出せなくなった人もいる。

　徳島県の60代男性は12年、「絶対もうかる」とのインターネット広告を見て国内業者から50万円で売買ソフトを購入。指示通り海外に口座をつくり、計約500万円を入金した。13年秋、パソコンの取引画面上は残高が約２千万円に増えたと表示されたが、業者は引き出しに応じず、数日後にはわずかな残高しかなくなった。業者に電話はつながらないという。

　ＦＸを勧誘、媒介できる業者は金融庁のホームページで名称を公開しており、消費生活センターでも調べられる。国民生活センターは「無登録の業者とは契約しないで」と警告している。〔共同〕