取材にはLINEで回答してくれた
当該ニュースでリストアップされていた、私立灘中学校・高等学校や国立筑波大学付属駒場中学校・高等学校といった名門校の中で、規制が行われていないと報じられた学校の一つが、福岡県立修猷館高等学校だった。
各校がスマートフォンに対するルールを設ける中、なぜ修猷館は「規制しない」という立場を採るのか? 取材を行い、その理由を探った。
規制が強まる名門校
中学生や高校生のころ、校則の厳しさに嫌気がさした経験は誰しもあるのではないだろうか。学生にとっては切っても切り離せない校則だが、恐ろしく校則が緩いことで有名な学校がある。例えば私立麻布中学校・高等学校は、「鉄下駄を履いてきてはいけない」、「賭け麻雀をしてはいけない」、「全裸で外出してはいけない」の3つだけしか校則がないことで知られている。そんな麻布中学校・高等学校でも、スマホだけは例外ではなく、「電源を切ってかばんにしまう」というルールがある。
私立灘中学校・高等学校では、2013年に教師の要請から、全校生徒1200人で集会を開き「授業中に携帯やスマホの電源を切る。使ったり鳴ったりしたら教師が没収する。返却は保護者に。」と、生徒自らが決めたという。
これは他の名門校も同じだ。このようなルールは、スマートフォンが中高生の間で広まってから設けられたものだという。
一人ひとりの自覚で伝統を守る
そんな中、明確に規制をしないと明言しているのは、福岡県立修猷館高等学校だった。そこで、修猷館高等学校の生徒会長にお話を伺った。当該記事では、規制はないという修猷館でも「授業中の使用は厳しく指導」と報じられているが、これは実際には極めて稀だという。授業中の使用に関しても何の制限もないのが実状そうだ。
教師から圧力をかけられるようなことも特になく、校風として「規制をかけるようなことがあってはならないという意識が根底にある」ため、これからもありえないだろうとのことだった。
そのような意識は、生徒会や教師の間だけでなく生徒全体に共有されており、もし規制をすることになれば「学校の特長でもある、自由が失われるということを一人一人がわかっている」という。
伝統を守るために各々が自覚を持っているということだった。
他の名門校で規制が行われ、社会的にも規制の風潮が強まっていることに対しては「使えるものは使うべきです」とポジティブだった。広く普及しているものをわざわざ規制するよりも、使い方次第で有効活用した方が良いという考えだ。
あえて活用する学校も
実際、5月には、私立高知中央高等学校ではスマートフォンを規制せず、あえて活用する動きがあると報道された。授業や学校からの連絡事項などに「LINE」を積極活用しているという。近年、ICT(情報通信技術)教育の一環としてiPadなどのタブレット端末を配布して活用する例も目立つようになってきた。しかし、環境整備や機材に多大な費用がかかることなどから見送られるケースも多いそうだ。そこで、既に生徒が持っているスマートフォンを利用し、予算をかけずに先進的な教育を行おうという試みだ。
規制する学校と活用する学校──今後の教育現場は大きく割れそうだ。
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