果てしなき渇き』はいかにして『渇き。』になったのか 深町秋生インタビュー前編

今夏再注目の問題作『渇き。』特集。第二部は原作者・深町秋生さんインタビューをお届けします。前編では、ご自身も無理だと思っていた映画化を実現した中島哲也監督との出会いを伺いました。そして、原作を書いて10年が経ち、映像化されたものを見て初めて感じた心境の変化とは?

中島哲也監督との出会い

— まずは、映画の率直な感想をお聞きしたいです。

深町 非常に豪快で突き抜けた、アナーキーな作品になったと思います。

— 『果てしなき渇き』(宝島社)は「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した作品ですよね。初めて作品が映画化されたわけですが、お話を聞いた時はどう思いました?

深町 いやあ、できないと思った。『果てしなき渇き』は、過激なストーリーから映像化不可能と言われていたし、自分でも不可能だと思ってました。

— たしかに、深町作品のファンには映画化と聞いて驚いた人も多くいました。

深町 原作にはダークで湿った雰囲気があったんですけど、中島監督のおかげで映画はカラッとしてて、明るさもユーモアもある作品になりましたね。

— 映画化の話を聞いたのはいつ頃だったんですか?

深町 以前から映画化の話があるというのは噂で聞いていて、初めて中島監督に会ったのは2011年ごろだったかな。それでもまだ映画化は決まっていなかったんだけど、このキャラはどういう思いで書いたのか、ということを熱心に尋ねてきました。けど俺も書いた当時のことなんて忘れてましたから、取り調べにあってるような感じで(笑)。とにかく本気で映画化したいという気持ちは伝わってきました。

— 中島哲也監督は、正式に映画化が決まる前に準備稿も書かれていたそうですね。

深町 初めてお会いした時は書いてるとはおっしゃってなかった。だからシナリオの準備稿をもらった時はびっくりしました。中身も、休みのあいだにパラっと読むつもりが、全部一気に読んじゃったくらい面白くて。そこでようやく実現するんだって感じましたね。

— 中島さんが監督を務めることも驚きでしたが、キャストもすごいですよね。

深町 そうですね。超豪華なキャストも揃って、これも驚きました。

— 役所広司さん、妻夫木聡さん、オダギリジョーさん、小松菜奈さんをはじめ、そうそうたるメンバーで。

深町 まさかのメンバーでね。役所広司さんは90年代に『シャブ極道』で見事なアウトローを演じてましたけど、今これを引き受けてくれるとは思わなかった。もちろん最近も『十三人の刺客』のような荒々しい役をやってらっしゃるので、藤島の役にぴったりでしたね。

— 原作も、役所さんであてがきされてたんじゃないかと思えるくらいで。

深町 普段小説を書くときにあてがきすることはほとんどないんですけど、実はこの作品は特別で、藤島を大杉漣さんのイメージで書いてたんです。

— ああ、そうだったんですか! たしかに大杉さんもしっくりきますね。

深町 この映画を見たらもう役所さんそのものになってしまったけど、当時は大杉漣さんが暴れるような感じで書いてたね。

『渇き。』に込められた怨念とポップさ

— 初めて「原作者」という形で映画をご覧になられて、感じたことはありますか?

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