大阪市職員アンケ:中労委「調査行き過ぎ」防止誓約を命令
毎日新聞 2014年06月27日 23時44分(最終更新 06月28日 01時31分)
大阪市が2012年2月に全職員を対象に実施した政治・組合活動に関するアンケートについて、中央労働委員会は27日、不当労働行為と認定し、再発防止の誓約書を組合側に手渡すよう命令した。中労委は「組合を弱体化する意図で、行き過ぎた調査だ」と判断した。橋下徹市長就任後に大阪市は、大阪府労委から7件について不当労働行為と認定されているが、中労委の判断は初めて。
市労働組合連合会(市労連)など4労組の救済申し立てを受け、府労委が昨年3月に不当労働行為と判断。市が中労委に再審査を求めていた。
命令によると、アンケートは、橋下市長が初当選した11年市長選で労組が前市長を支援した可能性があるとして、橋下市長の指示で市特別顧問らが実施。組合活動の有無や選挙活動への関与など22項目の回答を、業務命令として義務付けた。
中労委は「単なる情報収集を超え、組合活動に対する干渉行為」と指摘し、労働組合法が禁じる支配介入と認定した。「アンケートは廃棄し、組合の救済利益は失われている」などとする市の主張を、「組合活動への影響を回復できたと評価できない」と退けた。
市は命令取り消しを国に求める行政訴訟を、30日以内に起こすことができる。
アンケートを巡っては、市労連など5労組が組合の団結権や思想・信条の自由を侵害されたとして、市などに1340万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴している。
市労連は記者会見し、「組合を弱体化する意図があったと踏み込んでいる。市は提訴せず、早く労使関係の改善を図るべきだ」と求めた。市人事室は「遺憾だ。決定内容の詳細を見たうえで対応を検討する」とコメントした。【重石岳史】