「かもめのジョナサン」が完結　一部書店に並ぶ

　米国人作家リチャード・バックさん（７８）の世界的ロングセラー「かもめのジョナサン」の「完成版」が、作家の五木寛之さん（８１）の訳で新潮社から発売されることが２７日、分かった。作者が封印してきた最終章を新たに加えたもので、４０年以上を経て完結した。

　発売日は３０日で、東京都内などの一部書店で既に並んでいる。

　同作品は１９７０年に米国で出版。カモメのジョナサンが飛ぶ喜びを孤高に追い求める姿を３章仕立てで描き、全世界で４０００万部以上売れた。この邦訳版は五木さんが手掛けて７４年に刊行され、単行本と文庫本を合わせて２６０万部を突破している。

　完成版のバックさんの序文によると、執筆時に最終章として第４章まで書き進めていたが、自身の考えは３章までで十分に語られているとして印刷に回さなかった。

　第４章ではジョナサンが姿を消した後の世界が描かれる。カモメたちは彼を神格化しながらも、飛ぶことの喜びが忘れられてしまう。

　バックさんは半世紀近くが過ぎて再読し、２１世紀に対するジョナサンの警告と希望の声を聞いたと思ったという。

　完成版の電子書籍は今年２月、米国で発売されている。