習志野市議会の委員会で採択された原発再稼働を求める陳情(右)と、2011年6月に可決された脱原発を求める意見書(左)。「ならしの市議会」(手前)には「脱原発・自然エネルギーの推進意見書を全会一致で可決」と書かれている
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習志野市議会(定数30)の6月定例会に、速やかな原発再稼働を国に求める陳情が出され、環境経済常任委員会(7人)が賛成多数で採択した。市議会は東京電力福島第一原発事故後の2011年6月、脱原発を求める意見書を全会一致で可決している。意見書の内容を覆す今回の陳情と賛成議員による新たな意見書は27日の本会議で否決される見通しだが、市民からは「議会の動きには整合性がない」と批判の声が上がる。 (村上一樹)
陳情は「電力量料金が高騰して生活維持が大変です。『安全が確認された原子力発電所を一刻も早く再稼働する』よう、市として国に対し、意見書を提出してください」との内容。十九日の環境経済委で委員長を除く六人で採決され、四人の賛成多数で採択された。
賛成したある保守系議員(68)は「将来的には原発を減らし自然エネルギーに移行すべきだが、現時点では安全性が確認された原発は使い、(脱原発に)軟着陸していくべきだ」と主張。一方、反対した議員(66)は「安全が脅かされ命に関わる話。お金の問題ではない」と憤る。
市議会は一一年六月、政府に「自然エネルギーの本格的導入を推進し、原子力発電からの撤退を強く求める」意見書を議員提案し、全会一致で可決した。議員の顔触れは当時と変わらない。
二十七日の本会議では、陳情と、陳情に賛成した議員による国へ意見書を提出する発議案の二つが採決される予定。
動向が注目されるが、環境経済委で賛成した公明党議員(58)が「委員会で(賛成に)手を挙げたのはミスだった。本会議では会派として反対する」と話しており、陳情、意見書はそれぞれ不採択、否決となる公算が大きい。
市民団体「習志野市民フォーラム」の川辺俊一・事務局代表(61)は「三年前の決議当時と議員は同じで、整合性が取れない。原発再稼働や輸出に躍起になっている安倍政権の意向を受けているのでは」と批判。「もし本会議で可決されれば、全国でもまれなことになる。こうした事態が他自治体にも広がりかねない」と懸念している。
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