勤務時間中に繰り返しツイートをしたなどとして、北海道の男性中学教諭が6月中旬、減給10分の1(2カ月)の懲戒処分を受けた。北海道教育委員会によると、この教諭は48歳で、2009年8月から約2年半にわたり、勤務時間中ツイッターに計2394回の書き込みをしていたのだという。
報道によると、男性教諭は勤務中の空き時間に私物のパソコンからツイートしていた。内容は、授業のアイデアや私的なことで、生徒の個人情報は含まれていなかった。
この処分、ツイッターユーザーの目には厳しく映ったようで、「二年半なら一日5回とかでしょ?」「空き時間につぶやくことの何が問題なのか全然わからない」「この内容で駄目なら、社会人、ほぼみんな駄目だね」といった反応もあった。
もし、これが一般企業の従業員で、空き時間にツイートしていたのだとしても、やはり今回の教諭のように処分をされてしまうのだろうか。労働問題に詳しい上林佑弁護士に聞いた。
●労働者には「職務専念義務」がある
「雇用されている労働者は、勤務時間中、勤務先の指揮命令に従って、その職務に専念する義務を負っています。これを『職務専念義務』といい、勤務先の許可なく業務以外のことに時間を費やせば、この義務違反になります」
上林弁護士はこう切り出した。そうなると、勤務中の私的ツイートは、一般企業でもアウトなのだろうか?
「勤務時間中に、業務と関係ないツイートをすることは、職務専念義務違反に該当することになりますね。程度によっては、懲戒処分を受けることも十分考えられます。
今回のように、勤務時間中に2394回もの書き込みをしていたとなると、職務専念義務違反の程度も大きく、懲戒処分を受けてもやむを得ないと思われます」
2年半で2394回は、1日あたり数回程度だが、それでも問題なのだろうか。
「ツイートの回数が少なければ問題とならないわけではありません。以前からツイートについて注意を受けていたにもかかわらず、その後も勤務時間中にツイートを続けていれば、懲戒処分を受ける可能性はあります。
勤務時間中は、職務に専念する義務があるということを認識したうえで、節度ある行動を心がけることをお勧めします」
●ツイートの「内容」にも注意が必要
「また、ツイートの内容によっては、たとえ回数が少なかったり、勤務時間外であっても、投稿内容を理由に懲戒処分を受けることもあり得ます」
どんな内容だと、ダメなのだろうか?
「たとえば、勤務先の信用を傷つけたり、秘密保持義務に違反するような内容のツイートをした場合ですね。過去には、ホテルの従業員が、訪れた有名人の名前をツイートし、ホテルが謝罪するといったケースがありました。不用意なツイートには十分ご注意を」
このように、上林弁護士は注意を促していた。ツイッターでつぶやく時間・内容については、公私のけじめをしっかり付けたほうがよさそうだ。
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仙台弁護士会所属。労働問題を中心に、債権回収、その他企業法務一般、交通事故、知的財産権等、広く取り扱っている。事務所名: 三島法律事務所
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