ストレス発熱の仕組み解明 京大グループ
京都新聞 6月27日(金)11時29分配信
長期間のストレスを受けると体温の高い状態が続く神経メカニズムの一端を、京都大生命科学系キャリアパス形成ユニットの中村和弘准教授や片岡直也研究員のグループがラットで解明した。治療薬の開発などにつながる成果で、米科学誌「セル・メタボリズム」で27日発表する。
ヒトなどの哺乳類がストレスを受けると一時的に体温が1〜2度ほど上がるが、長期間にわたるストレスは疲労感を伴う心因性発熱を引き起こすことがある。解熱剤が効かず治療が難しく、発症に関わる仕組みはよく分かっていなかった。
グループは、ストレスで心因性発熱になったラットで実験した。脳内にある延髄と視床下部のそれぞれの特定の部分にある神経細胞の働きを抑えると、熱を生み出す「褐色脂肪組織」の温度が上がらず、体温上昇も起こらなかった。
これらの結果から、ストレスの信号は視床下部から延髄へと神経伝達され、交感神経を経て褐色脂肪細胞で熱の生産を促し、体温を上昇させていることが分かった。
中村准教授は「視床下部の神経を抑える薬剤は心因性発熱の治療薬として期待できる」と話している。
最終更新:6月27日(金)11時29分
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