石川のニュース 【6月27日15時22分更新】

山林の廃木、薬用に 白山市の「くさのね」 製薬会社に供給

クロモジの利用法について話し合う「くさのね」のメンバー=白山市鹿島平
 石川県産の薬用植物のブランド化に取り組む「くさのね」(白山市)は27日までに、 白山麓の林業関係者と連携し、山林で不要となっている間伐材や廃木を生薬、薬用酒の原 料として、全国の製薬会社に供給する取り組みを始めた。山林に眠っている資源を掘り起 こし、高付加価値の製品開発につなげることで、新たな産業創出を目指している。

 くさのねは、県内の薬剤師や大学の研究者ら5人がが設立した株式会社。2012年か ら白山市白峰の林業「白峰産業」と協力し、山林で調査を重ね、薬用植物として利用でき る資源の発掘を進めている。

 くさのね社長の薬剤師中出喜美子さん=白山市鹿島平=が昨年8月、白山麓の山林を調 査した際、薬用酒の原料となる広葉樹「クロモジ」が大量に自生し、林業関係者から邪魔 者扱いされていることを知り、活用を発案。薬用酒メーカーに利用を呼び掛け、11月ま でに約260キロを採取して半年間乾燥させ、今年5月の初出荷にこぎ着けた。

 クロモジは県内の山間部に広く分布するが、枝が細過ぎることから木材としては利用で きず、伐採した木を山から下ろす際に邪魔な下草として処理されていた。抗菌効果のある 「リナロール」を多く含むことから、くさのねは水蒸気蒸留させてアロマオイルや香り水 として商品化することも検討している。

 白峰産業の尾田(びた)弘好専務は「下草として処理してきたクロモジに、これだけの 利用法があるとは思いも寄らなかった」と隠れた資源の活用に期待を寄せる。

 くさのねは昨年9月、木材利用が難しいホオノキの樹皮を乾燥させ、消化促進に効果的 な生薬「厚朴(こうぼく)」の材料として製薬会社に納品しており、今後は生薬の原料と して「キハダ」や「ウド」の研究も進める。中出さんは「白峰での取り組みを県内全域に 広げ、山林の利用価値を見直すきっかけにしたい」と意気込んだ。


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