June 27, 2014
自然界で発生する電場を感知できる能力を進化させた動物がいるというだけでも驚きだが、自分で電気を発生させる能力を持つ動物も存在する。
「Science」誌6月27日号で発表された研究で、電気を発生させることができる器官が6つの異なるグループの電気魚で進化した過程が解明された。すべての筋細胞は電位を持っているが、この6グループの魚類では、特定の筋細胞が100万年以上かけて、通常の筋細胞よりずっと高い電圧を生み出す発電細胞(electrocyte)へと進化した。この特殊な細胞を使い、泥っぽいアマゾン川に生息するこれらの電気魚は、コウモリが超音波を使った反響定位(エコーロケーション)を行うのと同じように、能動的に発した電気を感知して暗闇の中で障害物や他の動物を見つけ出す。
「電気魚は電気を使って周囲の環境を“・・・
「Science」誌6月27日号で発表された研究で、電気を発生させることができる器官が6つの異なるグループの電気魚で進化した過程が解明された。すべての筋細胞は電位を持っているが、この6グループの魚類では、特定の筋細胞が100万年以上かけて、通常の筋細胞よりずっと高い電圧を生み出す発電細胞(electrocyte)へと進化した。この特殊な細胞を使い、泥っぽいアマゾン川に生息するこれらの電気魚は、コウモリが超音波を使った反響定位(エコーロケーション)を行うのと同じように、能動的に発した電気を感知して暗闇の中で障害物や他の動物を見つけ出す。
「電気魚は電気を使って周囲の環境を“照らしだし”、周りの水とは電気的特性の異なる物体を感知することができる」とドイツ、ボン大学の神経行動学者ゲアハルト・フォンデルエムデ(Gerhard von der Emde)氏は話す。電気魚はまた、交配相手を惹きつけたり縄張りを主張する際、電気信号を発して互いにコミュニケーションを取っている。
しかし電気魚だけが電気を利用する動物ではない。様々な目的のために電気を感知したり発生させる動物は、他にも何種か存在する。
◆ 1. デンキウナギ
その名前やヘビのような外見とは裏腹に、デンキウナギはウナギとは全く異なる動物で、電気魚の一種だ。他の電気魚と同様に、ほぼ常に低電位のパルスを出し続け、周囲の環境を感じ取っている。しかしより広く知られている彼らの能力は、獲物を気絶させたり殺すため、または自身の防衛のために非常に高い電圧の電気ショックを与えるというものだ。
デンキウナギは成長すると、全長2メートル以上、体重20キロ以上にもなる。このサイズのデンキウナギは、600ボルト以上の強烈な電気を発する。アメリカの家庭用コンセントの5倍に当たる電圧だ。
人間がデンキウナギの電気ショックで死亡する事故は稀だが、実際に起きている。繰り返しショックを受けると、呼吸器不全や心不全を引き起こすおそれがある。またこれまでに、デンキウナギの電気ショックで失神し溺死した例が複数ある。
◆ 2. エレファントノーズフィッシュ
まず初めに、ゾウの鼻のように見えるのは鼻ではなく、実際には長く伸びた顎だ。この特殊化した器官は、探知に使用する電場の波長に合う感覚器で覆われている。
エレファントノーズフィッシュは、アフリカ原産の電気魚のグループに属している。視力が悪いため、餌を探したり水中を正しく進むためには尾から電場を発しなくてはならない。そして顎の感覚器を使って、どんな電場の変化も感知する。
この器官の感度は非常に高く、エレファントノーズフィッシュは海床2センチまでの深さに埋まっている小さな動物が生きているのか死んでいるのかを判別することができる。またこの感覚器で、対象までの距離を測り、その素材や形、大きさを見分けることも可能だ。
エレファントノーズフィッシュは体の大きさの割に巨大な脳を持つ。フォンデルエムデ氏の話では、とても知能が高く、新しい課題を簡単に覚え、抽象的な概念も理解できるという。
◆ 3. カモノハシ
カモノハシが夜の暗い水中で、目も耳も鼻孔も閉じた状態でどうやって餌を捕っているのかという謎に、科学者たちは何年も頭を悩ませてきた。そしてその謎は解明された。他のどんな陸生哺乳類とも異なり、カモノハシは餌が発する電気インパルスを利用して狙いを定めるのだ。
カモノハシの嘴は、縞状に並ぶ4万個近くの電気センサーで覆われており、これが餌の場所を突き止めるのに役立っている。すべての動物は、神経や筋肉の活動のために電場を生み出している。カモノハシは川底を嘴で掘り、電気センサーでそのわずかな電流を感知する。こうして彼らは、無生物と生きた餌とを見分けることができる。
Photograph by Reinhard Dirscherl / Alamy