東京・銀座の和食店、がんこ銀座四丁目店。街の喧騒から隔離されたくつろぎ空間は、商談の場としても人気が高い。ここが、過去数回にわたり科学的・工学的アプローチによる「おもてなし研究のフィールド」になった。顧客が望む十分な接客ができているのか。それをつかむため“仲居さん”にセンサーを付け、行動を分析。おもてなしのレベルを高め、夜間の注文件数を4割伸ばすことに成功した。
サービス業では、顧客の評価に直結する接客の善しあしが、現場スタッフの経験や気配りで決まりがちだ。そんな属人化している接客現場にセンサーを導入し、変革を進めているのが、がんこフードサービス(大阪市淀川区)である。センサー経由で集めたデータを、顧客サービスの改善に役立てている。
顧客をもてなす時間が十分取れていないのではないか。和食店、がんこ銀座四丁目店での接客業務について、がんこフードサービスの新村猛副社長は不安を抱いていた。2010年後半のことだ。
東京・銀座の中心地に店を構える銀座四丁目店。落ち着いた雰囲気の和室で、寿司や天ぷらなど様々な料理を楽しめるとあって、先々まで接待や宴会の予約で埋まる。夜の宴会では、顧客からの注文がひっきりなしに入り、接客スタッフは大忙しだ。
こんな状況で果たして接客に十分な時間を取れているか。それを科学的に検証するため、新村副社長は自身が研究顧問を務める産業技術総合研究所(産総研)サービス工学研究センターに協力を要請。銀座四丁目店で、スタッフの接客状況の把握に乗り出した。
■副社長がグロースハッカー
実は新村副社長は、サービス工学分野で博士号を取得する研究者。工学的手法を用いてサービスの現場を改善したり、統計学を駆使して需要予測をしたりすることで、和食店舗のサービス向上を進める「グロースハッカー」としての顔を併せ持つ。
グロースハッカーとは、データを駆使して、企業や事業、サービスを短期間でどんどん改善し、成長させる仕掛け人を指す。米フェイスブックなどには統計学やプログラミングのスキルを備え、直面する事業課題を素早く解決する人たちが多数在籍し、注目を集める。まさにグロース(成長させる)ハッカー(高度な専門知識を使って成果を出す人)である。
新村副社長の要請を受けて動いたのが、サービス工学研究センターの蔵田武志行動観測・提示技術研究チーム研究チーム長。GPS(全地球測位システム)を利用できない屋内のサービス現場をセンサーで捉え、拡張現実で分析するエキスパートである。
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