株主総会:対策様変わり 総会屋衰退 個人株主にシフト

毎日新聞 2014年06月27日 15時00分

 3月期決算企業の定時株主総会は27日、ピークを迎え、この日だけで東証に上場する2375社のうち918社(東京証券取引所まとめ)が開いたが、大企業の株主総会対策の中心は、議事進行に協力または妨害して不当な利益を得る総会屋から個人株主にシフトしつつある。対抗策も、以前のような「与党総会屋」への根回しではなく、専門のコンサルタント会社にアドバイスを受けるなど大きく様変わりしている。

 今年3月末。株主総会の内容を詳報することで知られた老舗の週刊紙が廃刊になった。1957年創刊の「決算ニューズ」(創研社)。総会のやり取りを録音し、B5判数ページに文字で起こしただけの内容だが、年間購読代金は7万円。ピーク時は上場企業などを対象に約1000部を発行していたが、最近は3分の1以下に落ち込んでいた。

 総会屋と同じく、総会を飯の種にしてきた勢力の衰退ぶりに、捜査幹部は「担当者間で長年引き継がれてきたが、時代の流れで購読中止に踏み切る企業が増えた」とみる。

 警察庁によると、83年には約1700人いた総会屋は、利益供与罪や利益供与要求罪の新設など2度にわたる旧商法(会社法)の改正で、昨年末時点で約270人まで減少。一方で、一般の個人株主は右肩上がりに増え、昨年の上場企業の個人株主数は4575万人。10年前から3割増加した(全国4証券取引所調べ)。

 「動議、議長解任」−−。今月中旬、東京都内であった上場企業の総会。高齢の男性が声を荒らげた。解任動議が否決されてもやじを続け、議長に退場を命じられた。関係者によると男性は昨年、約130社の総会に出席。議事進行を妨害したなどとして30社以上で退場処分を受けた。男性が出席した別の会社の担当者は「動機は不明だが、対応に苦労している」と苦り切る。

 2年前には、東証2部上場の印刷会社の総会を巡り、埼玉県内の無職の男(62)が「右翼に友達がいる」などと役員を脅したとして、暴力行為等処罰法違反(脅迫)容疑で逮捕された。男は「株価が下落し、配当金が出ないので頭に来た」と供述したという。

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