何もかもなくなる
「たとえば人口が3分の2に減少すれば、市場は同様に3分の2にスケールダウンする。そうなれば、人口減少に比例して日本の企業が次々に消えていくのは当然のことです」
富士通総研上席主任研究員の米山秀隆氏は、そう警鐘を鳴らす。
人口減少社会のなかで、仕事が消えてなくなる—。それには大別して2つのパターンがある。ひとつは働く人間がいなくなり、会社や組織が消えてしまうパターン。もうひとつは客がいなくなり、市場そのものが消滅してしまうパターンだ。これからの日本は、その双方の危機と否応なしに直面することになる。
すでに目先の問題として顕在化しているのは、前者のパターン、つまり人手不足の問題だ。
今年3月、大手外食チェーンのワタミが、従業員の手当てができず「和民」や「わたみん家」の60店舗を閉店することを発表したのは記憶に新しい。同様に、第1章でも触れたように、牛丼チェーンの「すき家」も人手不足が原因で休業が相次いでいる。これらの外食産業にとって、人口減少は避けがたい課題として重くのしかかることになるだろう。前出の米山氏はこう語る。
「これらの業種は、デフレ経済のもと、低賃金で労働力を確保することで成長してきました。そのやり方自体に限界がきている今、ただでさえ少なくなる働き手が、あえてその職を選ぶとは考えにくいですね」
デフレ経済下で安価な商品を提供することで成長してきた企業は数多い。「すき家」「吉野家」など牛丼チェーン以外にも、たとえば「100円マック」で一世を風靡したマクドナルドは、低価格競争からどう脱却していくかが課題となっている。
そして外食産業のみにとどまらず、デフレ競争の勝者とも言うべき存在のユニクロ(ファーストリテイリング)なども、これまでの低賃金を前提にした薄利多売商法では、早晩、行き詰まるおそれが出てきた。
また、人手不足が加速すれば、宅配をはじめとした運送サービスも存続の危機を迎えることになる。現在、運送業界でも労働力の不足は深刻な問題だ。宅配サービスの主な担い手はトラック運転手だが、全日本トラック協会によれば現時点でもドライバーの約7割が40歳以上。30年後、ドライバーは超高齢化し、激減することは容易に想像できる。人口問題に詳しい明治大学政治経済学部の加藤久和教授はこう語る。
「このまま人口減少が加速すれば、配達などの輸送サービスは間違いなくマヒすることになります。宅配を頼んでも運ぶ人がいないので、『そんなところまでは行けません』と言われてしまうケースも出てくるでしょう」
運送業が機能しなくなれば、今は成長産業に見えているネット通販も壊滅する。商品を受注しても、それを届ける人がいなくなるからだ。近い将来、日本の物流は回復不能に陥ってしまう。
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