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■札幌市病院入札 情報漏洩

■異動後も資料再三閲覧か/北海道

 札幌市病院局が発注した病院内ネットワーク用端末更新業務の入札情報が漏洩(ろうえい)したとされる事件で、道警は25日夜、同市豊平区役所の住民記録担当係長、宮川貴行容疑者(50)=同市北区、公電磁的記録不正作出などの罪で起訴=を官製談合防止法違反と競売入札妨害の疑いで再逮捕し、発表した。市によると、宮川容疑者は病院担当を外れた後、病院のネットワークへの不正接続を繰り返し、入札の資料を閲覧していた疑いがあるという。

 また道警は同日、この業務を受注した同市中央区の事務機器販売会社「北海道オフィス・マシン」の営業社員宮嶋啓容疑者(40)=同市東区=も競売入札妨害の疑いで逮捕した。道警は、両容疑者の認否を明らかにしていない。

 道警などによると、宮川容疑者は2011年4月から病院局総務課主査として情報システムを担当。12年11月に実施した病院局発注の院内ネットワーク用端末の設定や旧端末の撤去業務の指名競争入札をめぐり、宮嶋容疑者に入札情報を漏らし、入札の公正を害した疑いがある。入札には5社が参加し、同社が91万円で落札した。

 市によると、宮川容疑者は昨年4月に豊平区役所に異動後、2度にわたって病院内ネットワークの管理者権限を不正取得。契約の発注書や仕様書、積算書などが入ったフォルダに何度もアクセスしていた。同6月、市に対し「ネットワークサーバーが正常に作動しているか確認したかった」などと説明したという。

 市は、これらの書類から予定価格を類推できるとみているが、漏洩情報が特定できないとし、同10月に道警に相談した。

 また、市病院局発注事業について、同社の09年度の受注額は23万円だったが、宮川容疑者が同局総務課に在籍した10~12年度は709万~2691万円に急増。異動後の13年度は148万円に落ち込んでいた。

 道警は、入札情報漏洩のいきさつや受注急増の理由などを調べる方針。

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■市長「再発防止へ対策」

 札幌市職員の逮捕を受け、市病院局の木内二朗経営管理部長らが25日深夜、記者会見し、「あってはならないこと。市民の信頼を裏切り深くおわび申し上げたい」と陳謝した。

 市が宮川容疑者に不信感を持ったのは、病院局から豊平区役所に異動した後の昨年5月。病院局のネットワークへの管理者権限を削除したのに、2度にわたり権限が再設定されたからだ。市は、宮川容疑者が病院局でシステム保守担当をしている時に権限の再設定ができるようシステムの設定を変えたとみている。

 札幌市では2008年、下水道電気設備工事をめぐり、公正取引委員会が立ち入り検査。市幹部らによる官製談合と認定された。

 上田文雄市長は26日、記者団に対し、「今回の談合が構造的に同じなのか、これから十分検証する。その結果を踏まえ、再発防止に向け、万全の対策を立てたい」と話した。

■業者の入札参加停止 入札妨害容疑で社員逮捕

 札幌市は26日、「北海道オフィス・マシン」に対し、市発注事業への入札参加を2年間停止した。