集団的自衛権の行使容認をめざす憲法解釈の変更について、自民党と公明党が合意する見通しだ。与党協議の最終盤で、国連決議に基づく機雷除去など「集団安全保障」に基づく活動も容認するかどうか、が焦点になった。今回はこの問題を考えてみる。
日本の安全保障体制と米軍基地
私は5月2日公開コラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39149)で、日本が朝鮮半島有事でも米国に基地の使用を認める姿勢を示したときから、実質的に集団的自衛権の行使を容認してきた点を指摘した。おさらいすると、こういうことだ。
日米安保条約(http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/hosho/jyoyaku.html)は第6条で、日本だけでなく極東(具体的には韓国と台湾、フィリピン)の防衛にもコミットしている。そのうえで1969年、当時の佐藤栄作首相は朝鮮半島有事の際「日本は(米軍の基地使用について)前向きに、かつすみやかに態度を決定する」と米国のナショナル・プレスクラブで演説した。
米国は日本の基地を使って戦闘行動に入るとき、日本と事前協議する。だが、それは「建前上の儀式」のようなもので、事実上は「使用を認める」と表明した。米国にとって日本の基地は極東防衛に死活的に重要であり、日本が認めないなら、沖縄は返ってこなかっただろう。
したがって北朝鮮が韓国を攻撃すれば、日本は自分が攻撃されていなくても、韓国防衛に出動する米軍に基地提供という形で武器、弾薬、兵力の補給を支援する。これは、本質的に日本の集団的自衛権の行使になる。米軍と一体になって武力行使をするのと基地提供ではレベルの違いはあるが、北朝鮮からみれば、日本と米国は一体である。
このコラムを公開した後で、私は安倍晋三政権で要職にある現役官僚を含む複数の外務省・日米安全保障条約課長経験者と意見交換した。私が上記のような認識を述べると、彼らは異口同音に「まったくその通りです」と賛同した。
- 日本が朝鮮半島有事で引き受けなければならない役割について (2014.06.27)
- 官邸は日本人生存者の帰還を確信している! 北朝鮮に拉致再調査を合意させた深刻な懐事情 (2014.06.20)
- 医療・農業の「岩盤規制」にも風穴! 安倍長期政権の見通しで「規制改革」の成果が上がった (2014.06.13)
- 集団的自衛権の見直し問題が触媒となる「与野党再編論」の現実 (2014.06.06)
- 北朝鮮の拉致問題再調査で浮上する安倍首相の「サプライズ解散」説 (2014.05.30)
-
長谷川幸洋「ニュースの深層」 日本が朝鮮半島有事で引き受けなければならない役割について (2014.06.27)
-
木暮太一の「経済の仕組み」「超入門 資本論」【第7回】 資本主義経済がはらむ大きな皮肉 (2014.06.27)
-
-
-
山本昌邦「FootBallマネジメント」日本代表は、技術や戦術を語る以前の段階で負けていた (2014.06.27)