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迷宮入り今市事件 30代男が供述

 約9年前の2005年に栃木県日光市(旧今市市)で発生した栃木小1女児殺害事件で、栃木県警に別の事件で逮捕された30代の男が「自分がやった」と供述していたことが17日、県警への取材で分かった。男は今年1月、商標法違反容疑で逮捕、起訴され、現在公判中。供述に基づく物証が得られておらず、栃木、茨城両県警その合同捜査本部は、慎重に捜査している。事件現場周辺の住民たちは「本当に犯人か、早く調べてほしい」と捜査を見守っている。

 迷宮入りしていた事件が9年近い歳月をかけて動きだした。男は、偽ブランド品を販売目的で所持していたとして今年1月29日に栃木県警に逮捕されていた。

 吉田有希ちゃん殺害事件について「自分がやった」と話し始めたのは、1カ月以上前。2月18日に商標法違反罪で起訴され、4月7日に初公判が行われた。現在も勾留中だ。捜査関係者によると、男は逮捕時は鹿沼市に住んでいたが、以前は有希ちゃんの自宅近くに住んでいたことがあった。

 有希ちゃんは05年12月1日午後2時50分ごろ、下校中の通学路で同級生3人と別れた後、行方が分からなくなった。届けを受けた栃木県警が翌2日、公開捜査に踏み切った。しかし、有希ちゃんは同日午後2時ごろ、東に約60キロ離れた茨城県常陸大宮市の山林で、林道から約10メートル下の斜面で遺体で見つかった。金縁の眼鏡を掛け、黄色の通学用ベレー帽に赤いランドセル、白いトレーナーとグレーのパーカ、ジーパン姿で行方不明になったが、遺体は裸だった。現場から服や靴、遺留品は見つからなかった。

 一方で捜査関係者によると、男の供述に具体性がないという。今後、着衣やランドセルなどの遺留品が発見されれば、関与の疑いは深まるが、捜査関係者は男の犯行を裏付ける物証は得られていないとしている。

 事件から8年5カ月。事件現場周辺の住民の気持ちは晴れない。現場付近に住む当時有希ちゃんと同じ小学校の6年生だった大学生の女性(20)は「有希ちゃんが友達と別れた三差路を通るたび、事件を思い出して気持ちが重くなる」と話す。男の関与の裏付けが進んでいないが「早く本当かどうか確かめて、事件を解決してほしい」と捜査の進展に期待を寄せた。

 有希ちゃんが住んでいた家の近隣住民によると、有希ちゃんの家族はすでに転居している。有希ちゃんを知る女性は「県警の方は『絶対捕まえる』と話していたが、正直、手掛かりがない様子でお宮入りと思っていたが驚いた」と話した。

 ◆栃木の小1女児殺害事件 05年12月1日午後2時50分ごろ、栃木県日光市(旧今市市)の市立大沢小学校1年吉田有希ちゃんが下校途中に友達と別れてから行方不明になり、翌2日午後、約60キロ離れた茨城県内の山林から遺体で見つかった。遺留品や有力な目撃証言がなく捜査は難航。遺体の付着物から採取されたDNA型は当初、有力な手掛かりとみられていたが、当時の栃木県警捜査1課長のものが誤って付着したことが判明した。

 [2014年4月18日9時35分 紙面から]

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