長崎市に落とされた原爆の体験を聞く授業が26日、日向市の三つの中学校であった。2004年から続いている取り組みで、「語り部」の池田松義さん(76)が平和を守ることの大切さを語りかけた。

 小中一貫校の平岩小中学校では、中学生64人が耳を傾けた。当時7歳だった池田さんは、爆心地から約700メートルの自宅近くで防空壕(ごう)を掘っていた。「ドーン」というものすごい衝撃を感じたが、奇跡的にけがはなかった。

 しかし、兵器工場から全身血だらけで帰ってきた父親は、池田さんを抱きしめたあとに倒れ、翌日息をひきとった。母親と曽祖母も亡くなり、池田さんは親戚の元を転々としながら生きてきた。自殺を考えたこともあったが、猛火の中を自分のために戻って来てくれた父親のことを考え、思いとどまったという。