創業直後の0→1の支援をしていると、最初の事業計画の作り方がよくわからないという相談を受けます。
このタイミングではキレイなExcelのシートを作ることに意味がないと思うのですが、いくつかコツ的なものはあるのでまとめてみようと思います。

過去の参考記事はこちらこちら

最初に考えること

やろうとしているサービス・事業は「どのような魅力的で成長している市場」で「そこに存在している大きな負あるいは不をどのように解決する」のか、そして「どのような競争力」によってスケールしていくのかといったことを考えなければいけません。
最初は仮説だらけになるはずですが、「魅力的で成長している市場」で5年後までにどれくらいのシェアを獲得するという目標を設定して、そこからの割り算・引き算で考える必要があるからです。
そして自分たちのサービス・事業が提供する価値に対してどのように対価を得ることが出来るのかという仮説を立てましょう。

因数分解する

どのように対価を得ることが出来るのかという仮説があれば売上を因数分解することが出来るはずです。
一番シンプルなのは当たり前ですが、

【売上】 = 【単価】 × 【数量】

ですね。
例えば広告費として対価を得るようなメディアであれば、【単価】はPVあたりの広告単価、クリックあたりの広告単価あるいはコンバージョンあたりの広告単価といったものになり、【数量】はPV数、クリック、コンバージョンといったものになります。
また、ユーザーに月額会費を払ってもらうのであれば、【単価】は月額会費で【数量】は会員数になります。

第一段階の因数分解が出来ると、それぞれの項目が更に分解していくことが可能になることも気付くはずです。
広告の例で言えばコンバージョンはそのページに来てくれた人の何%がコンバージョンしたのかというCVRとPVに因数分解することが出来ます。
このように分解していった要素のうちキードライバーになるものを改善していくのがGrowth Hackになるわけですが、要素を分解して整理しておくことが大事です。

前提条件シートを作る

ExcelでB/SやP/Lを作っていく時には分解した要素を最初に前提条件シートを作ってまとめていくのが良いです。
このシートには時系列で変化するものは計算式にしてしまって、それ以外の定数になるものとして整理していきます。
例えばユーザー数などは時系列に変化していくので、前月に対しての成長率といったものが前提条件として整理されていきます。
因数分解するということは計算式ができているので、後はExcelに入力して引っ張ってしまえばシュミレーションは簡単に出来てしまいます。

このときに大事なのは未来からの割り算・引き算で考えながら前提条件の仮説を立てるということです。
出来そうな数字で設定してしまうよりもストレッチした目標を達成するために何が必要なのかを考えるためにです。

行動計画に落としこむ

シュミレーションが綺麗に作れると安心してしまうのですが(僕も過去にそれで大失敗したこともあります)、気をつけなければいけないのは前提条件シートに整理した要素はいずれも仮説でしかなく、実際にその数値になるかどうかはやってみなければ分からないということです。
例えばCVRを5%と設定したのであれば、どうやってその5%を実現するのか具体的な施策に落としこんでいかなければいけません。
具体的な施策に落としこんでいくということは、具体的に何にお金を使うのかということが整理されていくはずです。
外に対して使うお金でなくても、自分でやるのか人を雇うのかなどを考えなければならないからです。

つまり、売上を分解してそれを実現するためにはどのような行動をしなければいけないのか?、そしてそれにはいくらお金がかかるのか?ということが事業計画を考えることによって整理されるのです。

変わらない真実

事業計画を考える上でトップライン(売上)は様々な前提条件の仮説を立てて検証を繰り返すものであり、結果的に鉛筆を舐めて作った数字になるものです。
考えた時にスナップショットのようなものです。
計画するのはどういう行動をするか?ということであり、つまりは何にお金を使うのかということなのです。
コストだけは使う自分で決められるので、これだけは変わらない真実だと言えます。

マイルストーンを設定して、そこまでに必要な資金計画も作っておきましょう。
最低限この行動計画と資金計画がなければ、投資を生業にしているような投資家からは投資してもらうことは難しいでしょう。

まとめ

  1. まずはサービスの価値は何かを考える
  2. 得られる対価を因数分解する
  3. 要素を前提条件シートに整理する
  4. 仮説を実現する行動計画に落としこむ
  5. マイルストーンを設定して資金計画も作る

参考:何度かワークショップ等で使ってる資料