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【サッカー】

本田「口だけだった」 散々な結果 これが現実

2014年6月26日 紙面から

コロンビアに敗れて1次リーグ敗退が決まり、がっくりと両手を膝につく本田=クイアバで(沢田将人撮影)

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◇ブラジルW杯 第13日1次リーグC組 日本1−4コロンビア

日本の攻撃サッカーは、世界の分厚い壁にはじき飛ばされた。決勝トーナメント進出をかけて臨んだ25日のコロンビア戦は1−4の大敗。「目標は世界一」と言い続けてきた本田圭佑(28)=ACミラン=は「口だけだった」と、力の差を痛感。守備的な戦いで16強入りした10年大会からステップアップを目指したが、厳しい現実が待っていた。ザッケローニ監督(61)は任期満了で退任する見通し。

 残酷で非情な笛は、コロンビアの大声援にかき消された。本田はがっくりと腰を折り、屈服した。両手を膝についたまま顔を上げられない。現実を直視できず、放心したようにピッチ上をさまよい歩いた。精も根も尽き果てた顔だった。

 「これが現実。無念の一言。それ(1次リーグ敗退)を招いたのは自分自身。全てを受け入れる必要がある。優勝とまで言って、この散々な結果。自分たちが未熟すぎた。もう敗者だから、何を言っても意味がない。希望を最後に見せたかったけれど、本当に口だけで終わってしまって、非常に残念で申し訳ない」

 前半終了間際。右サイドで内田からパスを受けると、本田は独特のリズムでドリブルを始動。相手に向かいながら、左へ持ち出すと、ゴール前の岡崎の頭へピタリと合わせた。起死回生の同点アシストだった。

 本田は中盤で起点になり、攻撃を操った。体の強さを生かしながら、対等以上に渡り合った。リスクを負ってでも、ゴールへ向かい続けた。

 その一方で、コロンビアは球が集まる本田を当然のようにターゲットにしていた。後半10、37分の失点劇をさかのぼれば、本田が球を奪われた局面が始点だった。1人だけ絶対的な存在であったがゆえだった。

 南ア大会後、本田は「世界一」を公言し続けた。仲間を鼓舞し、本田しか描けなかった目標を、チームとしてリアルな目標として意識させた。

 2011年9月。本田は右膝に重傷を負い、スペインで手術を受けた。まさかの長期離脱。本田自身が最も苦しい状況にあった時、長友、岡崎らの盟友にこんな言葉を残したという。

 「俺は、絶対に世界一になりたい。なる。一緒にやろうや」

 木っ端みじんに散った。ただ、すべては真っ向から勝負に打って出たからこそ、見えた現実であり、突き付けられた力量差である。

 「俺はこの生き方しか知らないし、自分らしく生きる、生き続ける。少なくとも、明日からもサッカーができるチャンスがあるというのはすごく幸せなこと。感謝しないといけない。強気しか、僕には道はないと思う」

 敗れはしたが、敗北の美学にも似た信念までは砕け散ってはいない。「また一から精進して」。憔悴(しょうすい)はしていたが、本田の両眼は力強さを失ってはいない。 (松岡祐司)

 

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