ワシントン=岡田将平
2014年6月26日15時42分
「原爆の父」と呼ばれたロバート・オッペンハイマー博士の弟子で、米国の原爆開発にかかわった物理学者、故ロバート・サーバー氏(1997年に88歳で死去)が、被爆直後の長崎市で放射能を測定する様子の写真が米メリーランド州の国立公文書館で見つかった。現地で資料を調べている市の調査団が確認した。
長崎原爆資料館の奥野正太郎学芸員によると、資料館にサーバー氏の写真はなく、調査の様子をとらえた写真は珍しいとみられる。
サーバー氏は、原爆を開発した「マンハッタン計画」に参画。長崎への原爆投下の際、原爆の搭載機「ボックスカー」と別の機体に乗る予定だったが、パラシュートが足りずに乗れなかったとされる。見つかった写真では、爆心地付近で3人が放射能を測定しており、中央にいるのがサーバー氏だ。
今回の調査では、サーバー氏の写真とほぼ同時期の被爆約1カ月後、マスク姿の市民が写った写真も確認された。当時、被爆による急性症状が毒ガスによるものとの誤解があり、それを避けるためではないか、との見方もある。市の調査に同行している被爆者の深堀好敏さん(85)は「市民は放射能のことは何も知らされていなかった」と語る。原爆の効果をいち早く確かめようとする米国の姿勢と、何も知らない被爆者の落差が鮮明になった形だ。(ワシントン=岡田将平)
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朝日新聞社会部
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