世界初の分化型甲状腺がんに対する分子標的治療薬、日本でも使用可能に
バイエル薬品株式会社は6月20日、抗悪性腫瘍剤/キナーゼ阻害剤「ネクサバール(R)錠200mg(一般名:ソラフェニブトシル酸塩錠)」について、厚生労働省より、根治切除不能な分化型甲状腺がんに対する追加効能・効果の承認を取得したと発表した。
これまで、分化型甲状腺がんの手術が不可能な患者や、放射性ヨウ素治療が奏効しない局所進行または転移性の分化型甲状腺がんの患者では、十分な効果を期待できる治療法がなく、新規の治療法が求められていた。
同剤は、世界で初めて分化型甲状腺がんに対し、無増悪生存期間の延長を示した分子標的治療薬であり、今回の追加承認取得により、その使用が日本でも可能となる。
PFSを有意に延長、病勢進行または死亡のリスクも41%低下
今回の承認は、第3相臨床試験であるDECISION試験のデータに基づいて行われた。DECISION試験は、18か国77施設で実施されたプラセボ対照の国際共同臨床試験で、化学療法、チロシンキナーゼ阻害剤およびVEGFまたはVEGF受容体を標的としたモノクローナル抗体、またはその他の分子標的薬の前治療歴のない、放射性ヨウ素治療抵抗性の局所進行または転移性の進行性分化型甲状腺がんの患者417人を対象としたもの。患者はソラフェニブ400mg1日2回経口投与(ネクサバール)群と、プラセボ投与群に無作為に割り付けられた。
主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)で、RECIST基準に基づき8週ごとに評価、副次評価項目は全生存期間(OS)、無増悪期間、奏効率、病勢コントロール率、奏効期間などだった。試験の結果、ネクサバール群はプラセボ群に比べ、PFSの有意な延長がみられ、病勢進行または死亡のリスクも41%低下した。PFS中央値はネクサバール群が10.8か月、プラセボ群が5.8か月となっている。
同剤はこれまでに、根治切除不能または転移性の腎細胞がんおよび切除不能な肝細胞癌の効能・効果で承認を取得しており、今回の根治切除不能な分化型甲状腺がんは3つ目の効能・効果となる。バイエル薬品は、引き続き同剤の副作用リスクを最小化し、患者に最大限のベネフィットを提供していきたいとしている。(紫音 裕)
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・バイエル薬品株式会社 ニュースリリース
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