政府の途上国援助(ODA)の見直しについて、外務省が設けた有識者懇談会(座長=薬師寺泰蔵・慶大名誉教授)が26日、報告書を出した。災害救助などの軍事でない分野であれば、これまで禁じてきた外国軍への支援を認める内容だ。安倍内閣は報告書を踏まえ、年内に新しい大綱を閣議決定するが、実現すれば、途上国への民生支援に限って60年近く続けてきた日本のODA政策の大きな転換になる。

 政府は、軍隊に関係する支援をODAで行うことを一切禁じてきた。2003年に改定された今のODA大綱には「軍事的用途及び国際紛争助長への使用を回避する」と書かれており、この規定に基づいている。今回の報告書は、この規定の維持は「当然」とした。

 ただ、現状はODAを通じて支援国の軍隊に武器ではない物資を送ったり、軍人に救援など軍事と関係のない技術指導をしたりすることも禁止されている。