セクハラやじ問題、九州の女性議員も被害 [福岡県]
政治家のセクハラ発言や騒動はなぜなくならないのか。東京都議会で女性議員に「早く結婚しろ」とやじを飛ばした男性議員が23日、発言を認めて謝罪した。九州の地方議会でも同僚からセクハラ被害を受けた女性議員は複数おり、「泣き寝入りする人は多い」という。女性議員が少ない「男社会」の議会に対する疑問の声も上がる。
「白内障が治ったけん、あんたのパンツの色までよく見える」。九州のある女性県議は県議会の委員会室に入った途端、男性県議からこんな言葉を掛けられた。女性県議は「冗談のつもりだろうけど、女性の尊厳を重んじない文化が議会に染みついている。企業と違ってセクハラを訴える窓口はないし、防止のための研修もない」と嘆く。
北九州市の森本由美市議(48)は35歳で初当選した直後の視察で、食事の際、隣に座った70代の男性市議から太ももを触られた。「今度同じことをしたら被害届を出す」と会派や議会事務局を通じて抗議すると、その後はなくなった。「若い女性議員は軽く見られ、標的になりやすいのは昔から変わらない」と明かす。
都議会のやじについて、福岡県の堤かなめ県議(53)は「女性は仕事をせず、家庭に入って子どもを産めという本音がにじみ出ている」と指摘。福岡市の星野美恵子市議(64)は「議会は先頭に立って社会を改善すべき場所なのに。都議会に怒っている男性議員も多い」と話す。福岡県内の超党派女性議員47人でつくる「県女性議員ネットワーク」は23日、セクハラ防止策などを求める文書を近く都議会へ送ることを決めた。
市民にも批判がくすぶる。福岡市中央区の美容師、倉田実代さん(42)は「日本はいまだに男社会なんだと悲しくなった」と声を落とした。同区の会社員女性(32)は「結婚は個人の人生の問題であり、批判する権利は誰にもないはずだ」と話した。
=2014/06/24付 西日本新聞朝刊=