「縁故資本主義」という不都合な真実

政府の介入なくして勝利なし――これがグローバル経済の現実だ

(Roman Muradov/The New York Times)

右か左かを問わず、ポピュリストに共通の認識があるとすれば、それは縁故資本主義(官界と大企業が癒着し、大企業が優遇されている経済体制)は唾棄すべきものだという考え方だろう。

これは大企業のロビイストと連邦議員たちが、持ちつ持たれつの関係にある米中央政界への嫌悪感とも言える。一般市民を犠牲にして巨大企業を太らせる、政府から企業への助成金制度への怒りでもある。

だが最近になって保守派の中から、単なる嫌悪にとどまらず、具体的な政策変更を求める動きが出てきた。

米輸出入銀行の存続めぐる対立

下院共和党は今、米国の輸出産業を支えるために多額の融資を行ってきた政府機関「輸出入銀行」の廃止を求めている。共和党を支持し、同党をさらに右傾化させようとしている一部の団体もそうだ。

輸出入銀行は法律により、米議会から認可を受けなければ業務を続けることはできない。この再認可問題への対応をめぐり、共和党内の企業の利益を重んじる勢力と、ポピュリストである茶会(ティーパーティ)勢力は対立を深めている。

この2つの勢力は、オバマケアへの反対や社会保障費削減といった問題では足並みをそろえることができた。だが輸出入銀行をめぐる議論では、保守系シンクタンクのヘリテージ財団や市民団体「繁栄を求めるアメリカ人」といった勢力は、米商工会議所や全米製造業者協会の求める方向と真っ向から対立している。

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