Christine Dell'Amore in Copenhagen,
National Geographic News
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June 26, 2014
ここに、首を傾げてしまうような不思議な現象がある。何でも飲み込んでしまうはずのブラックホールから、何かが放出されているのだ。天文学者らはつい最近、NGC 5548と名付けられた銀河系の中心に抱かれている超大質量ブラックホールから、膨大なガスが放出されているのを発見した。
この流れが、ブラックホールから通常放出されるX線の90%を遮断してしまっている。この現象を説明するため、専門家らは従来考えられてきた宇宙の仕組みに別の見解を加えようとしている。
その見解とは、次のようなものだ。通常、物体がブラックホールへ向かって落下すると、それは崩壊した星の周囲に形成される平たい降着円盤の中に堆積する。その円盤の中心に近い部分からはX線が放出され、外縁部からは紫外線が放出される。このブラックホールの場合、ブラックホールに近い部分で放出されるX線が塵で遮断され、それによって紫外線が強力な風を巻き起こしている。この風の威力は相当なもので、ブラックホールか・・・