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サリンの調査結果生かせず被害拡大
6月26日 18時24分

サリンの調査結果生かせず被害拡大
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世界で初めて、猛毒のサリンがテロに使われた松本サリン事件から、27日で20年となります。
この事件で散布されたサリンが、いったん土壌に付着したあと再び空気中に漂い、被害を拡大させたという調査結果が、事件のあとにまとまっていたことが分かりました。
しかし、このサリンの特性が医療機関などに伝えられる前に地下鉄サリン事件が起き、結果として被害の拡大防止につなげることができませんでした。

松本サリン事件は平成6年6月27日、長野県松本市の市街地で、オウム真理教によって猛毒の化学兵器サリンがまかれたもので、8人が死亡、140人以上が被害を受けました。
27日で事件から20年となりますが、当時、信州大学の講師だった那須民江さんが、事件の直後に手足のしびれなど被害の症状を訴えた住民600人に聞き取り調査を行っていました。
その結果、被害の症状を感じた人が最も集中したのは、事件から1時間後の時間帯で、およそ120人でしたが、9時間後にもおよそ40人が症状を訴える、もう1つのピークがあったことが分かりました。
サリンは土壌や衣服に付着したあとも、分解されるまでは気温の上昇や風向きの変化などで再び空気中に漂う性質があり、那須さんは、サリンの特性によって被害が拡大した可能性があると分析しています。
この調査結果は事件の8か月後、ごく一部の警察や医療機関の関係者が参加して東京で開かれた極秘の会議で伝えられ、会議の参加者でサリンの特性や有効な治療方法を記した報告書を作成し、平成7年3月20日に全国の消防や医療機関に配ることになりました。
しかし、報告書を出す予定だったその日に地下鉄サリン事件が起き、結果として被害の拡大防止につなげることはできませんでした。
13人が死亡、6300人以上が被害を受けた地下鉄サリン事件では、サリンを取り除いた地下鉄の駅員2人が死亡したほか、救助に当たった消防隊員や医療関係者など少なくとも690人以上がサリン中毒の2次被害を受けています。調査に当たった那須さんは「松本サリン事件の教訓が生かせず残念に思う。
どういうタイミングで国民に伝えていくか、考えていかなければならない」と話しています。

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猛毒サリンの未公開写真 NHK入手 (6月26日 19時12分)

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