"人口4300万人"ああニッポン30年後の現実【第1部】警察官もいません 東京の足立区、杉並区、豊島区は消滅京都・大阪も無法地帯に!

2014年06月26日(木) 週刊現代

週刊現代経済の死角

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2020年東京オリンピックまでには約1400万人減と、東京都の人口がまるまる消えるのと同じだけ働き手の数は減る。外食チェーンやコンビニに限らず、すでにさまざまな業界が人口減少に苦しんでいる。

たとえば、味の素は自社製品の流通の主体を、'16年度にトラックから鉄道や船による輸送に切り替えると発表。トラック運転手が高齢化・減少して人手が確保できないからだ。看護師や介護ヘルパーなど医療・福祉の分野でも人手不足は常態化している。ありとあらゆる分野で「人がいない」ことが顕在化してきた。

なぜこんなことになったのか。実はその責任の一端が、国にもあることをご存知だろうか。政府はかつて国策で人口減少を誘導したが、それを止める方法を考えていなかったのだ。

子供が減るのは当たり前

歴史人口学が専門の鬼頭宏・上智大学教授は語る。

「1972年に『成長の限界』という有名なレポートが出され、世界的に資源問題と人口爆発が注目されました。その潮流に乗り、2年後の昭和49(1974)年に政府は人口白書で『出生率を4%下げれば昭和85年までに人口は減少に転じる』と発表したのです。

さらに国会議員や財界人が集まった『日本人口会議』で、『子供は2人まで』とした宣言が採択され、人工中絶や避妊用ピルの公認を求めるなど産児制限の取り組みもなされていった。先ほどの昭和85年と言えば、2010年ですから、人口減少は見事に成功したわけですが、減少の勢いが止まらなかった」

こうした社会運動の結果、私たちの意識のなかには、「結婚して子供を2人産めば日本は大丈夫」というイメージが定着してきた。だが、ここに「ゼロ・イチ・ニの法則」と呼ぶべき落とし穴がある。子供が必要だ必要だと喧伝される昨今、女性は自分の子供が0人だと、大変なプレッシャーを感じる。1人生まれて少し安心し、家計が許すなら2人と考える。しかし、2人生まれると、「もう義務は果たしたよね」と考える女性が圧倒的になるというのだ。

だが、これは間違いだ。人口を増加も減少もしないように安定させるには、女性が「平均で2・07人の子供」を産む必要がある。多くの女性が2人で安心してしまうと、平均値は2を超えず、結局は人口が減少してしまう。子供の数を「ゼロかイチかニ」と認識している限り、人口減少は絶対に止まらない。

人口問題の専門家で、人口減少社会の到来に備えよと早くから警告を発してきた政策研究大学院大学の松谷明彦名誉教授は、

「10年のうちには、さらに多くの人がはっきりと変化を感じるようになるだろう」

と指摘する。

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