川内原発:火山対策、予知頼みの無謀 専門家警告

毎日新聞 2014年06月26日 13時51分(最終更新 06月26日 14時14分)

九州電力川内原子力発電所(左から)1号機と2号機=鹿児島県薩摩川内市で2014年3月15日、本社ヘリから加古信志撮影
九州電力川内原子力発電所(左から)1号機と2号機=鹿児島県薩摩川内市で2014年3月15日、本社ヘリから加古信志撮影
九州電力がモニタリングの対象とする火山
九州電力がモニタリングの対象とする火山

 ◇火砕流で原子炉爆発の恐れ

 原子力規制委員会による九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県薩摩川内市)1、2号機の適合性審査が、大詰めを迎えている。安倍政権は「再稼働1号」と期待するが、周辺は巨大噴火が繰り返されてきた地域だ。このまま通して大丈夫なのか。他にも同様のリスクを抱える原発がある。東大地震研究所火山噴火予知研究センターの中田節也教授(火山岩石学)に聞いた。【瀬尾忠義】

 規制委が川内原発の審査を優先したのは、九電による地震や津波の想定を「妥当」と評価したからだ。火山については「稼働期間中に巨大噴火が起こる可能性は十分低い」という九電の説明を、大筋で了承した。

 だが、川内原発のある南九州は、図のように巨大噴火による陥没地形「カルデラ」の集中帯だ。「カルデラ噴火は日本では1万年から数万年に1回起きており、同じ場所で繰り返すのが特徴です。姶良(あいら)カルデラは前の噴火から約3万年、阿多カルデラも約10万年が経過しており、両カルデラのある錦江湾の地下にマグマがたまっているというのは火山学者の常識。そろそろ何かの兆候があっても不思議はありません」。中田教授はそう警告する。

 昨年7月に施行された新規制基準では、原発の半径160キロ以内にある火山の火砕流や火山灰が到達する可能性を調べ、対応できないと判断されれば「立地は不適」として廃炉になる。こうした火山リスクは、福島第1原発事故の前にはほとんど議論されなかった。その理由を中田教授は「近年の日本の火山は異常に静かだから」と言う。「日本ではカルデラ噴火どころか、1707年の富士山、1914年の桜島、1929年の北海道駒ケ岳の後は大きな噴火は起きていません。原発が日本に導入されたのは1950年代なので、真剣に考慮されることはなかったのです」

 もし今、カルデラ噴火が起きたらどうなるのか。

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