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「IS インフィニット・ストラトス ~黒衣の侍~」
IS学園入学編

十三斬 漢には建前ってもんが必要な時がある

 ←十二斬 漢なら許容出来る失敗には寛容であるべき →十四斬 漢なら切り札を持っているもんだ
 IS学園、屋上、現在ここにはこの学園で三人しかいない男子生徒と、三人の女子生徒が集まっている。その中の一人の女子生徒、篠ノ之箒は男子生徒の一人、織斑一夏に微妙に不満そうな半眼を向けていた。この二人がいると言う事は、メンバーは推して量れるだろう男子生徒は言うまでもなく、翔、一夏、シャルル。女子生徒は、箒、鈴音、セシリア、このメンバーだ。

「一夏、これはどういう事だ……?」
「ん? 飯は大勢で食った方がうまいだろ」
「それはそうなのだが……」

 確かにそうなのだが、自分が望んでいた展開はこれではないと、箒は思うが、既に起こってしまった事、諦めるしかない。翔も何だか済まないと思っているのか、微妙な視線になっている。こうなった原因としては、箒が二人で食事と言わなかった事にも原因があるが、つい最近、覚悟が決まった箒には、流石にまだ恥ずかしいのか、それは言えなかった。食事に誘えただけで万々歳といった所。そしてそれを一夏が鈴音に話し、鈴音もそれを見過ごす事は出来ず、参加。その流れで翔も誘われ、断りきれずに参加と相成ったというわけだ。シャルルとセシリアは当然のように翔の後ろへ着いてきた。
 そして、この場で弁当を持ってきているのは、箒、セシリア、鈴音、翔の四人、シャルルと一夏は買ってきたパンを持参している。

「おぉ! 酢豚だ!」
「そうよ、今朝作ったの」

 鈴音が持ってきたタッパーの中身に瞳を光らせる一夏。入っている量はそれなりに多く、一夏がつまんでも、何ら問題ない量はある。

「む? セシリアはサンドか……」
「そうですわ、翔さんお一ついかがですか?」
「ふむ、では、遠慮なく……」

 そう言ってセシリアからサンドの一つを受け取り、一口。その瞬間、何時もはクールな表情で、誤解されているが実は怒る事の極端に少ない翔、その翔のあまり使われる事のなかった眉間に皺が寄る。その後、物凄い勢いでサンドを食べ終え。セシリアのサンドをもう一つ掴み取り、それをセシリアの口元へ持って行く。

「え? えっと、これは?」
「良いから、食べろ、そうすれば俺の言いたい事が分かる」
「は、はい……」

 頬を赤らめ、そこはかとなく嬉しそうなセシリアを待っていたものは……果たして地獄だった。一口食べた瞬間に、顔色が青くなり、どうにかして飲み込もうとするが、失敗。結局お茶で流し込む事に成功する。

「料理も、要修業だな」
「はい……申し訳ありません……」

 これを翔に食べさせてしまった事に落ち込んでいるのか、気を落とすセシリアのバスケットを奪い取り、自分の持ってきた弁当をセシリアに渡す。

「そう落ち込むな、良ければ時間のある時にでも教えてやる」
「あ、有難うございます! それでその……これは?」
「俺の作った弁当だ、食べろ、お前の物と交換だ」
「ですが、それは……」

 良いから食べろ、とセシリアを押し切り、サンドにガシガシと手を付け、一気に食べ終える。言葉は少ないが、翔の不器用な優しさに心の奥が何故だかほっこりするセシリア。あたたかい、と心の中で翔の評価を再認識した。
 一夏は箒の作ってきた弁当の中から、から揚げを絶賛していた。

「箒も食べてみろって、ほら」
「うっ、で、では……」

 一夏の手により差し出されたから揚げ、頬を少し赤く染めながらも何処か嬉しそうに口に入れ、幸せそうに、いいものだな……と呟く。その二人の様子にシャルルが何か思い出したように二人の状況を言葉にする。

「これが日本の恋人同士がする、はい、あーん、ってやつ? 二人とも仲良いんだね?」
「何でこいつらが仲いいのよ……」

 そう言葉にするシャルルの台詞に、思わず鈴音は歯軋りしつつ納得の行かない顔。それも仕方のない事といえばそうなる。一夏と箒が何となくいい雰囲気に見えるのだ、少なくとも鈴音には。自分が作ってきた酢豚を何とか我慢しているように口元へ運ぶ、と、何か良い事でも思いついたのか、へにゃりと、だらしのない表情へ変化し、酢豚を、自分の使った箸で、一つまみ、それを一夏の口元へ持って行き、食べるように急かす。

「ほら、食べなさいよ、アンタ、食べたいって言ってたでしょ?」
「ん? あぁ、サンキュー」

 何も疑う事無く、鈴音の酢豚を口に入れ、うまいな、と素直に感想を言ってくる一夏に、頬を赤くさせる鈴音。その顔はやはり締りがなく、嬉しそう。鈴音の行動の一部始終を見ていた箒は、中々に厳しい目で鈴音を見ている。
 ちなみに鈴音、シャルルの言葉が鈴音に発破を掛けるための台詞だと気が付いていない。何となく三人を微笑ましそうに見ているシャルルに、翔から感謝の声が掛かる。

「うむ、鈴音に発破を掛けてくれて助かった」
「いいよ、別に、あの三人何となく見てて微笑ましいから」
「そうか、では、ささやかではあるが、礼として俺の弁当をセシリアと分けて食べてくれ」
「いいの?」

 構わん、と簡潔に答えると、屋上に来る前にでも買ったのか、缶コーヒーを開け、簡単な食後のティータイムを始める。翔ってコーヒー飲むんだ、などと心の中で思いながらも、翔の弁当の包みを持っているセシリアの方へ寄り、翔から言われた事の旨を伝える。セシリアはまだ翔の弁当を開けていなかった。

「えぇ、翔さんがそうしろと仰られたのなら私に拒む権利などありませんわ」
「そっか、有難う」

 そう言って包みを開け、弁当箱の蓋を外し、中身が見える。そこには……日本人ならば誰しもが食べてみたい、そう思える料理が所狭しと並んでいた。弁当箱の約半分を占めるご飯は、筍を使った炊き込みご飯、隅々まで味がよく染みていそうな色付き、菜の花のひたしには丁寧に鰹節が振られ、煮物はそら豆、里芋、いか、が使われている。メインには、しょうが焼きだが、使われている肉は鶏肉と言う中々に珍しいしょうが焼きである。シャルルとセシリアは日本の料理に、それほど詳しいと言う訳ではないのだが、この弁当にはそれ相応の時間が掛かっていると言う事だけは分かった。

「こ、これは……」
「何だか凄いね……本当に食べちゃっていいのかな?」

 思わず食べるのを躊躇してしまうセシリアとシャルル、セシリアは自分の弁当と交換と言う話になっているため、その気持ちが余程強いのだろう、本当に申し訳なさそうな表情だ。そんな思いを抱きながら、二人は翔の方を見てみるが、全く気にした風もなく、胡坐をかいて、ぼうっと空を見上げ、時折思い出したように手に持つ缶コーヒーを啜る。その姿に何かしらの感情が騒いだのか、頬を少し赤く染め、翔を見つめるセシリア。そして何故か、シャルルも、しかしそれも一瞬の事で、照れを隠すように、セシリアとシャルルは翔の弁当に手をつけていく。

「おー、相変わらず翔の弁当はうまそうだな……少しだけくれないか?」
「駄目ですわ」
「駄目だよ」

 翔の弁当に釣られ、ひょっこり一夏が翔の弁当を要求するが、セシリアとシャルルに間髪入れず却下された挙句に、あの二人の弁当で満足しないとは何事か、と何故か説教を受けた一夏。その後、翔の弁当を二人で分けたシャルルとセシリアで分けたが、その際、シャルルは箸がうまく使えず、セシリアに食べさせてもらっていたのは翔には内緒の話である。


 夜、学生寮、千冬から面倒を頼まれた翔と、翔に面倒を見てもらう事になっていたシャルルは、その言葉通り、寮の部屋も同じ部屋に入れられていた。シャルルの荷造りを二人で終えたシャルルと翔は、現在、部屋に備え付けられているデスクに着き、二人でコーヒーを啜っている所。シャルルはミルクと砂糖入り、翔はブラック。

「何だか、高校1年生でブラックコーヒーがそこまで様になってる人も中々いないよ?」
「む? 俺がブラックの方がコーヒーの味がよく分かると思ったのは中学2年からだが……」

 内心、お茶でもコーヒーでも違和感がないと思っていたシャルルだが、そんな渋い中学生がいた事にまず驚きを隠せない。現在のシャルルもコーヒーを砂糖とミルクなしで飲めるほど舌が育っていない。

「でもよく持ってたね? ドリッパーなんて」
「あぁ、数ある趣味の内の一つだからな、これは」

 と、コーヒーの入っているカップを掲げてドリッパーを所持していたわけを話す。その言葉に苦笑しつつも翔の淹れたコーヒーを啜り、翔の様子をチラリと盗み見る。表情自体はあまり変わりがないが、非常に満足そうな雰囲気を感じる。うむ、うまい、と呟いている翔に何だか少し微笑ましく見える。

「そういえば、一夏って今放課後訓練してるんだよね?」
「あぁ、セシリアと鈴音、それから箒を付けている」

 御蔭で急速成長している、あの三人には感謝だな、そう言って、ふっと笑う翔を見て、シャルルからも提案が入る。

「よければ僕も手伝おうか?」
「いいのか?」
「別に良いよー、それぐらいならお安い御用だよ」

 そう言ってほにゃり、と笑うシャルル。その意見に、一瞬考える翔だが、すぐさま結論が出たのか、シャルルの提案を飲む。

「ならば頼まれてもらおう、シャルルには一夏に射撃武器の特性を教えてやってくれ」

 わかったよ、と翔に頼られるのが嬉しいのか、少し嬉しそうに頷くシャルル。その様子に、満足そうに一つ頷く。と、そこで、翔の持つ特殊な通信機器から通信通知音が流れる、特殊な通信機器と言っても見た目は普通の携帯だが、特殊なのはその中身、その通信機器へ連絡を取れるのはこの世界で一人しかいないと言う事だ、その人物とは

「束か、どうした?」
『やっほー♪しょーくん♪愛しの束さんだよ~♪』

 そう、篠ノ之束、その人である。束は翔のISを持って来た時に言っていた連絡手段を翔に送っていた。束にとって独立した回線をつくり、それを相互に繋げるだけの通信機器など作るのは容易い事である。

「うむ、挨拶は良いとして、用件があるんだろう?」
『おぉ♪相変わらず察しが良いねえ♪しょーくんは♪』

 心底嬉しそうにコロコロと笑う束の声に、翔もふっと笑う。シャルルは翔の表情と通信機器から聞こえてくる声に、何故か面白くないような表情。

「僕は先に寝るね?」
「む? 了解した、お休み、シャルル」
「……うん、おやすみ」

 わざわざ通信機器から耳を離し、そう言ってくる翔に、何となく嬉しさを覚えたのか、シャルルは機嫌を直し、自らの布団に潜り込む。その様子を確認した翔は束との会話に戻る。

『誰?』

 そう問うて来る束の声は、幾分か温度が下がっているように感じた翔だが、それも何時もの事なので気にしない。束が特定少数の人間以外には全くといって愛想がないのも理解している。

「俺のルームメイトだ、それより用件は何だ?」
『もう、せっかちだなぁ、しょーくんは♪』
「俺の予想ならば、今回の用件は俺に必要なものだ」
『ほんっとに察しが良いよね♪時々読みとか勘とかじゃなくて超能力だと思う時があるよ♪」

 科学の域での天才と呼ばれた束が、超能力などと言うあやふやなものに例えるほどの翔は、それだけでも普通としてはおかしな人間なのだろう。その評価を粛々と受け止める翔としては、特に否定する理由もない為、受け入れる。が、それよりも気になったのは察しが良いという台詞、それが意味する所はつまり……

「では、出来上がったのか?」
『そうだよ♪正宗零式にも勝るとも劣らない、しょーくんの、き・り・ふ・だ♪』

 その後、翔の切り札なる物の解説と近況報告に雑談で時間を使ってしまい、翔の就寝時間は日付が変わる手前になっていた。


 朝、一年一組SHR、クラスでは見慣れない人物が、山田真耶と共に教壇へ上がっていた。比較的小柄な身体に銀色の髪、何より鋭い瞳の片方にされた眼帯の特徴的な人物。疑うまでもなく転入生である。教卓に手を着いてSHRを始める真耶の表情は何とも微妙な表情を浮かべている。

「え、えーと、今日も嬉しいお知らせがあります……」

 真耶はそう言ってチラチラと銀色の髪を持つ少女へと何度か視線を向けるが、黙して語らず、といえば良いのか、それとも単に不機嫌なだけかは定かではないが、目を閉じ何も語ろうとしない少女。その様子を千冬は何時も通り静かに静観。

「また一人、クラスに新しいお友達が増えました、ドイツから来た、ラウラ・ボーデヴィッヒさんです」

 真耶の声に、クラスの女子生徒達が疑問の声を上げる。無論、クラスの女子生徒から出る疑問は最もで、この男も当然疑問を持っていた。

(どういう事だ? 二日連続で転入? 無いとは言わんが、あまりにも確立が天文学的な数字だ……何か裏があるのか? 見た所それなりの使い手の様だ……戦力を集中させている? いや、本当にそんな単純なものか? 判断するにしてもカードが足りない現状では何とも言えんか……)

 翔が思考に沈んでいる間に、自己紹介も終わっており、翔の耳には少女、ラウラ・ボーデヴィッヒが千冬の事を教官と呼んだ事実が残っていた。と、そこで、ラウラがこちらを、正確に言うならば、翔と一夏を睨みつけている事に気が付く。

「貴様らが……」

 翔と一夏を厳しい瞳で注視しつつ、一夏の前に立つと、厳しい瞳はそのままに、問うて来る。

「織斑一夏と柏木翔だな?」

 特に間違ってはいないので、その問いに首肯する翔と一夏。ラウラの厳しい視線にうろたえる一夏に、特に何も感じていないように受け流す翔。その反応に何を思ったのか、ラウラの方に動きがあった。その動きを見た翔が、一夏の肩を少し後ろに引き、一夏は上半身を少し後ろに逸らす形になる。

「未熟……」

 その翔の一言が放たれた瞬間、一夏の目の前を、ラウラの右手が中々の速度で通過する。その事を認識したラウラは、次に翔を睨みつける、同時に一夏へ向けて呪詛の如き言葉を落とす。

「私は認めない、貴様があの人の弟であるなど……私は認めない……」

 その言葉に呆然としている一夏に気にする事無く、翔へも同じように認めない、と言い放つ、内容は一夏とはまた違っていたが。

「貴様もだ、柏木翔、貴様が最強であるなど……私は認めない」
「……何の事を言っているのか分からんが、最強かどうかなど、どうでもいい事だ」

 心底どうでも良さそうに放たれた言葉に我慢がならなかったのか、ラウラは感情を爆発させたかのように、翔へ拳を放つ。が、変わらず席に着いている翔に放った拳は、相変わらず黒板の方へ向いている顔をそのままに、翔の右腕一本で流される。

「貴様等など……私は絶対に認めない……」

 怒りの感情そのままに呟かれた言葉を、全く気にもしていないように受け止める翔。対面と同時に一夏と翔、ラウラの間に確執が生まれたSHRはラウラが引き下がり、幕を閉じる。翔に済まなさそうな表情を向けている千冬に、気にするなと言うように静かに手を振ると、少し安心したように授業開始を告げ、今日も一日が始まる。
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