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「IS インフィニット・ストラトス ~黒衣の侍~」
IS学園入学編

九斬 漢ってのは覚悟を決めてこそ漢足りえる

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 激情に駆られ、思わず鈴音が一夏を張り倒した日から、数日、クラス対抗戦の前日。この日この時まで、鈴音と一夏は話し合う事は無く、この日を迎えた。そして現在、一夏と鈴音はアリーナのピット内で顔をつき合わせている。
 その様子を、翔、セシリア、箒が見ている……いや、その表現には間違いがあった。セシリアと翔は確かに静観しているが、箒は眉間に皺を刻み、翔が止めていないと今すぐにでも一夏と鈴音に噛み付きに行きそうな勢いだった。嫉妬から来るものと考えれば可愛くも思えるが、中々にアグレッシブである。と、翔は思う。

「えーと、鈴、俺、何か勘違いしてんのかな、そうだったとしたらちゃんと覚えてなかった事謝るよ、ごめんな?」
「べ、別にいいわよ、もう……アタシも叩くのはやりすぎだったと思ったから……」

 一夏はそう言うのだから一夏なんだもんね……と少し嬉しそうに言っていたが、一夏には何の事か分からずに頻りに首を捻っていた。特に拗れる事も無く、対抗戦前日になって地固まったようだ。あれから鈴音も一夏も考えに考えて、こう言う話し合いに辿り着いたのだろう、話に一枚噛んだ翔としては、鈴音の一つ成長した姿は感慨深いものである。
 互いにしこりの無くなった一夏と鈴音に我慢できず、二人の間に入ろうとした箒だが、それは翔に手首を捕まれ、阻止される。箒を止めた翔を箒は思わず睨みつけ、感情をぶつける。

「師匠! 師匠は私の味方ではなかったのですか!?」

 そう感情をぶつけてくる箒に、少し低めの威圧感のある声と、視線が襲い掛かり、勢いを殺される。

「俺は俺を頼って来た者の味方だ、お前も俺を頼って来た者だが、今のお前は酷く醜い」
「私が?」
「そうだ、お前のやろうとしている事は恋敵の足を引っ張り、レースから失格させようとしているも同然だ、それは酷く醜い」
「っ!?」

 その言葉に頭を殴られたような衝撃を受け、箒は言葉を失う。それを見ても、翔は指摘を止めない。ここで止めるのは箒の為にならない、何事も正々堂々、それが箒にはよく似合っているものが、今の箒では魅力は半減と言うよりももっと悪い。

「相手を蹴落とそうとする前に何故自分を磨かない? 自信が無いのか? ならば諦めてしまう方が余程建設的だ」
「諦められるものなら……諦めています!」
「ならば己を磨くべし! 恋も闘いも正々堂々がよく似合う篠ノ之箒へそろそろ戻る時と知れ」

 恋敵が居ない時は長い目で自分を見つめ直す時間があったからこそ好きにさせていたが、そう言った存在が現れた今、そんな猶予は無いとばかりに、翔は箒へ喝を入れる。
 自らの師の言葉、有象無象ではなく、昔色々な事を教えてもらった師の言葉だからこそ、箒は比較的取り乱さず聞けたのやも知れない、箒を包んでいた激情は感じ取れないほどに小さくなっていた。その代わりなのか、今はまだ小さいが、しっかりとした意思の炎が瞳に宿った気がする。箒の瞳は濁ってはいなかった。

「すぐには無理かも知れぬが、少しずつ、戻るといい」
「……っ、はいっ!」
「その一歩として、取り敢えず宣戦布告してくるといい」

 小さいが確かに意思が篭ったような返答を返す箒に満足したのか、恋敵に開戦の狼煙を上げて来いと課題を出す翔、覚悟を決めたばかりの箒には些かハードルが高いのか、顔を赤くさせる。

「それはっ、その、私にはまだ早いと言うかっ、どうか! どうか猶予を!」
「否、覚悟を決めたなら前へ進むべし」

 情けを掛けてくれと言う箒の言葉を断ち切り、箒の背中を押し、一夏と鈴音の前へ押し出す。
箒の鈴音への宣戦布告を外から見守るように見ている翔の傍らにセシリアが寄ってきて声を掛ける。

「案外と、厳しい事を仰りますのね?」
「誰かが言ってやらねばならなかった事だ」

 そう言い切る翔にセシリアは、そうですわね、とクスクス笑った。
 鈴音へたどたどしくも宣戦布告をした箒。その瞳に確かに宿った意思を見て、鈴音も、負けるつもりは無いとそれを受け入れる。
 それを見て何の事か分からず首を傾げつつも、開戦とか言ってるし止めなくてもいいのかと頭を悩ませている一夏。そんな三人を差し置いて、クラス対抗戦の対戦カードが決まる。
 一回戦 織斑一夏 対 鳳鈴音


 クラス対抗戦当日、今回の対抗戦は一夏が出ると言う事で、会場の席を取るのに一悶着も二悶着もあったようだが、一夏と共にアリーナのロッカールーム内に居るセシリアと箒、それに翔には関係の無い話だ。
 現在一夏は、試合の開始まで時間があるため、ロッカールームの中で翔達と会話し、緊張を解している所。

「うへぇ~、観客多いだろ……」
「この学園の二人の男子の内一人が出るのだ、おかしな事はあるまい」

 憂鬱そうに言葉を吐き出す一夏に、仕方のない事だと翔が声を掛ける。それに便乗するように、セシリアと箒も一夏を激励する。

「私と篠ノ之さんが訓練を手伝ったのですから、負けは許しません事よ?」
「そうだぞ一夏、やるからには必ず勝て、お前なら出来る!」

 意識的なのか無意識的なのか、二人とも激励しつつもプレッシャーを一夏に掛ける。セシリアはむしろプレッシャーしか掛けていないような気がするが、そこは気にしない事にした一夏。そこでロッカーに背を預け、腕を組んで何時もの表情の翔から声が掛かる。

「一夏、時間だ、行って来い。負けて悔しいと思うなら勝て、それだけだ」
「訓練の成果、見せてくださいな」
「勝って来い!」

 何時もの表情で激励している気がしないが、言葉に込められた意思は本物の翔、訓練を見てくれたセシリアと箒、三人の激励を受けて、一夏は何となく、クラス代表でもこう言う事があるなら、なるほど悪くない、と少し思う。

「おぅ、行って来る!」



『一組織斑一夏、二組鳳鈴音、両者、規定の位置まで移動してください』

 アリーナの空中に、IS甲龍を纏った鈴音、IS白式を纏った一夏が対峙する。

「ふっふっふ、来たわね、一夏、手加減してあげよっか?」
「いらねぇよ、んなもん、全力で来い」

 対峙した瞬間に挑発の応酬だが、二人の表情は険悪ではなく、楽しそうな、もっと言うならこれから遊ぶ子供のような表情で向かい合っている。
 仲直りした二人には最早、全力でぶつかり合う事しか頭に無いようで、試合開始の合図はまだか、というように全身をうずうずさせて待つ。
 そして、二人も、そして恐らく会場も待ちに待った試合開始の合図が鳴る。


 ロッカールーム内モニター前、翔、セシリア、箒は、一夏と鈴音の試合を見ながら意見を交換し合う。
 セシリアと箒はモニターを食い入るように見つめ、翔は一夏を送り出した時と同じようにロッカーに背を預け、腕を組んでモニターを見ている。モニターの中の一夏は鈴音の両腕から繰り出される連撃を雪片一本で捌いているが、それも間に合わなくなってきている。

「一夏には一応私が刀の間合いと特性を教えたが、流石にそれを実行させてくれるほど甘くは無いか……」
「基本動作はもう殆ど問題ないようですけど……」

 基本的にISにおける戦闘力はISの操作時間によって決まると言ってもいい、どちらかと言うと、この試合で鈴音に何とか食いついている一夏が奇跡的なのだろう。覚えが早いと言うか、かなり驚異的なスピードで一夏は確かに成長している事が分かる。
 雪片一本で捌き切るには厳しいと判断したのか、距離を取ろうと一夏が動くと、鈴音の肩に浮いているパーツから、不可視の何かが一夏の身体を吹き飛ばす。何をしたのか箒には理解出来なかったが、その正体をセシリアは知っていたのか解説を始める。

「衝撃砲ですわ、空間自体に圧を掛け、砲身を生成、その余剰で生じた衝撃を砲弾にして打ち出したのですわ」
「利点としては、砲身と砲弾が見えない事か」

 セシリアの解説に、翔が冷静な意見を述べる。箒は心配そうにモニターに映る一夏を見つめるだけだ。その場に刹那の沈黙が流れるが、何時も通り冷静な声音、冷静な表情で、とんでもない意見がこの人物から飛び出すのはいたって普通の事である。

「なら見なければいいだけの事だ」
「は?」
「師匠、何を?」

 明らかに今おかしな事を言った翔に、セシリアと箒から何言ってんだこいつ?的な視線が送られるが、翔は全く気にせず、自分の思った事を並べていく。

「見えないのなら、感じ取ればいい、空間に圧を掛ける、そして撃ち出すのが衝撃ならば大気を感じ取って避ければいい、ある意味実弾を避けるよりも簡単な事だ」

 そんな事を事も無げに言い放つ翔に、もういい加減にしてくれ、的な諦めの視線が、翔を見つめる。

「そんな事が出来るのは翔さん位ですわ……」
「そんな事が出来るのは師匠位です……」

 セシリアと箒に声を揃えて言われた翔は、そんな事は無い、千冬も可能だろう、などと比較対照にならないような対象を上げてくるが、セシリアと箒は全く取り合わないのは言うまでも無い。
 三人がそんな馬鹿なやり取りをしている内に、一夏は立ち上がり、覚悟を決めた瞳を鈴音に向け、もう一度打ち合うために、互いが互いに向かっていくが、接触する直前、二人の間に物理的衝撃を伴う光が落ちる。
 立ち上った砂塵の中から現れたのは、全身装甲のIS。それを認識した瞬間、会場へ向けて警報と真耶の放送が流れる。

『か、会場内に所属不明のISが出現!会場にいる生徒さんは直ちに避難を開始してください!』

 それを聞いた箒はロッカールームを出て行こうとするが、翔に声を掛けて止められる。

「お前の激励は試合へ向けてだけの筈だ、行って一夏を激励しても何も変わらん、一夏を危機に晒す可能性が上がるだけだ」
「しかし! 師匠!」
「納得しろ、出来なくてもしろ、そして今自分が本当に出来る事なのか、していい事なのか判断しろ」
「……わかり、ました」

 ロッカーに背を預けたままそう言う翔の言葉に、拳をきつく握りながら了承する箒。この間にもモニターに変化は無く、所属不明のISに一夏と鈴音が応戦している映像が流れている。あのISが来てから数分、この事態について翔は思考をめぐらせる。

(数分経つが、制圧部隊が突入する気配は無い、生徒の安全確保に手間取っているのか、それとも会場に入れない何かがあったのか……こうしていても埒が明かんな、とりあえず動いてみるか?)

 予想は幾らか立ててみるがどれも断定するには決定的なピースがないと判断した翔は、未だ心配そうにモニターを見つめるセシリアと箒に声を掛ける。

「セシリア、箒、行くぞ」
「行くって、何処へですの?」
「決まっている、今どういう状況なのか把握するために、モニター室へだ」

 それだけ簡潔に言い放つと、ロッカーから背を離し、ロッカールームの出入り口へと歩を進める。後ろから箒とセシリアが着いて来ている事を確認しながら、避難している生徒の波の間を縫うように歩き、セシリアと箒が離れないように速度を調節する。

(山田教諭が放送していた事から、今この事態を完全に把握出来るモニター室に織斑教諭がいる可能性が高い、もし居なかったとしても、モニター室にはほぼ確実に現れる筈だ)

 そう断定した為にモニター室へ歩を向ける翔。
 モニター室の前に着き、ふと一夏と鈴音の事が心配になったが、今の二人なら恐らく問題ない、と半ば確信しながらモニター室の扉を潜る。そこで一番最初に目に入った大型モニターに映った映像は……。
 勿論の事、一夏と鈴音が即席の連携を用いながら闘っている姿だった。
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