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 ←六斬 漢は如何なる時も冷静に対処するもんだ →八斬 漢なら選んだ道を後悔しないもんだ
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「IS インフィニット・ストラトス ~黒衣の侍~」
IS学園入学編

七斬 漢は脇目も振らず前へ進むもんだ

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「と言う訳で、織斑君、クラス代表就任おめでとー!」

 夕食後、誘われた通りに食堂に待機していると、何処からとも無く「織斑一夏クラス代表就任パーティー」と書かれた看板が取り付けられ、大量のクラッカーが運び込まれる。夕食後なので食べ物は無いが、飲み物は結構な量が運び込まれ、現在一夏のクラス代表就任パーティが開催された。

「成り行きだけど、クラス代表になったんだから祝わないとね」

 実際成り行きでなったのだが、今からして思えば、翔の思う通りに動かされていたような気もする。そしてそれは多分気のせいではない。些細な意趣返しに一夏は非難の視線を翔へ向けてみる。が、本人はそれすら気にする事無く、紙コップに入れられたお茶をマイペースに飲んでいた。こうしてみると今更だが翔に文句を言いに行きたくなるが、一夏は翔に近づけない理由があった。そして今現在、その原因同士が翔を挟んで睨み合っている。

「オルコット……これは織斑を祝う場だぞ、織斑を祝いに行ってやらんか」
「それはそっくりそのまま織斑先生にお返しいたしますわ」

 不敵な笑みを浮かべた千冬が笑顔を浮かべたまま青筋を浮かべると言う器用な真似をしているセシリアに一夏を祝いに行けと言い、それはそちらも同じ事だとセシリアも切り返す。そうやって睨み合っている二人を見て一夏は切実に思う。

(箒も機嫌悪い事を考えると……どちらも来ないでください)

 セシリアと千冬の睨み合いに挟まれている翔と言えば、何も気にしていないように空になった紙コップを置いて、今日の実演授業について考えている。
 目下課題については武装展開の速度向上が翔の一番の課題となっている。展開が遅いわけではないが翔としても納得の行かない展開速度だったのだろう。周りの喧騒など聞こえていない様に思考を加速させる。が、それを遮るように一つの声がこの場へ落ちてくる。

「あ、いたいた、話題の一年一組メンバーはここに居たんだねー」

 そう言いながら織斑一夏クラス代表就任おめでとうパーティーに入ってくる女子生徒。最初に目に入った一夏の下へすたすたと近づいていき、一つの紙を手渡す。

「君が一夏君ですね、私は新聞部副部長、二年生の黛薫子です。これ、名刺ね、今回は話題の新入生をインタビューしに来たの」
「はぁ、どうも」

 新聞部副部長、黛薫子、と簡潔に書かれた名刺を見ながら曖昧に返事をする。そして薫子は何かを探すように辺りを見渡す。

「何を探してるんです?」
「いやね?今話題のもう一人の男子学生なんだけど……」

 一夏は無言でもう一人の男子学生、つまり、翔のいる所を指差す。薫子がその方向に目を向けると、何も見なかったように一夏へのインタビューを始める。

「ど、どうも忙しいみたいですね……」

 まぁ、無理も無い、と一夏は思う。実際に翔、千冬、セシリアが居る周りには人が居ないのだ。主な理由としては、代表候補生と表向き世界最強の人物から出ている威嚇のプレッシャーなど誰も受けたくないのが主な理由である事は明白。その中でも平然と考え事をしていられる翔の神経はどうなっているのかと疑問に思うが、考えても仕方ない事である。

「じゃあ、ずばり、クラス代表に感想とか聞いてみようかな」

 そう問われて、一夏は答えに窮する。成り行きでなってしまったクラス代表、自分の意思など介在する余地の無かった役職について言える感想など限られる。当然その答えは、何とも面白みの無い普通の答えになった。

「まぁ……何というか、頑張ります」
「え~、なにそれ~」

 一夏の答えにたちまち不満気な表情へシフト、インタビューに面白いも何も無いと思うが、薫子の中の常識ではそうではなかったようで、一夏のコメントに納得していない。新聞部らしくカメラ、手帳、ペンを持っており、手帳に一心不乱に書き込んでいるのは何なのか、その答えがメディアの悪癖だと一夏は悟る事になる。

「いいよもう、それについては捏造するから」

 その一言で一夏は思う。じゃあ聞くなよ。
 捏造内容が書き終わったのか、手帳からペンを放すと、憂鬱そうにため息を吐く。

「うぅ、あそこ行きたくないなぁ……でも、話題の男子生徒二人にインタビューしないと新聞部の名折れよね……」

 息を吸って吐いて、よし! と気合を入れると、薫子は翔へ向かって歩き出す。目を瞑り考え事をしているのか、身動ぎもしない翔に寝ているのではないかと疑うが、自己紹介を始める。

「どうも! 私は新聞部副部長……「二年の黛薫子だろう?」……えっと、はい、そうです」

 さっきの自己紹介を聞いているとは思っていなかったのか、目を瞑ったまま名前を呼ばれ、思わず呑まれる薫子。薫子を視界に治めるために開かれた翔の黒い瞳が何となく印象的だった。

「で? 俺に何を聞きたいのでしょうか」

 年上にはそれなりの口調になる翔の意外さに少し目を見開くが、薫子に気付く事もなく、未だに睨み合っている二人をどうにかしなければインタビュー所ではないと、意を決して二人に話しかける。

「ちょっと待ってくださいね? えっと、織斑先生、インタビューしますので少し抑えてもらえませんか?」
「ん? 黛か、という事は、柏木へのインタビューか、まぁ、いいだろう」

 ありがとうございます、と頭を下げた後に、後でセシリアにもインタビューする旨を伝え引き下がってもらい、改めて翔へのインタビューを再開しようとするが、先にざっと翔の風貌を観察する。
 年上や、地位のある者にも物怖じしない事からある程度の器はあると予想。と、手帳に書き込む薫子。

「では、聞きますね? この学園に来てからの意気込みを一つ」

 薫子の質問に、翔の考える時間は短い。

「この学園に来ようと何をしていようとも、ただ前へ進めるなら前へ進むのみ」

 簡潔にそう答える翔の返答を受け、手帳にペンを走らせる。翔は弄っても特に楽しくないと判断したのか、すぐに切り上げると薫子はセシリアへ向かっていく。
 インタビューが簡潔に終わり、お茶を探そうと当たりを見回すが、翔の視界にはお茶のペットボトルが見当たらない、すぐに欲しかったわけではない、と思い直し、また思考へとダイブしようとした翔の視界に紙コップに注がれるお茶が目に入り、注いでくれた人物へ目を向けると、千冬が稀に見る穏やかな表情で翔を見ていた。

「前へ進む、か相変わらずだな、お前は」

 表情も穏やかなら、出てくる言葉も柔らかい。翔の隣に腰掛ける千冬は翔が変っていない事を喜んでいるのか、微かに笑みを浮かべている。

「変らないさ、今までもこれからも、立塞がるものがあるならそれを斬り払い、俺は前へ進む」

 愚直なまでに真っ直ぐな翔の言葉に、何か眩しいものを見るように千冬は目を細め翔を見ている。そう言う翔を見て千冬は毎回思う事がある。

(そんな真っ直ぐなお前だから、私は救われ、励まされ、前へ進む事が……織斑千冬を始める事が出来たんだ)

 だからこそ目標で、だからこそ憧れで、だからこそ……織斑千冬は柏木翔が好きなのだ。

「柏木君! 専用機持ちの写真撮るからちょっと来て!」

 薫子の声に、承知、と答え立ち上がる。

「お前がお前を始めた時、それは絶対に折れないものになった、自分が思う道を進め、織斑千冬」

 千冬の師匠としての顔でそう言った翔の言葉に、目を見開き、千冬は是と答える。その答えに満足がいったのか、一夏とセシリアの下へ向かう。

「私は進みます、私の思う道を、師匠のように……」

 その言葉を心に刻むと、次の瞬間には柏木翔の一番弟子、織斑千冬ではなく、IS学園教師、織斑千冬の顔へと戻る。
 その後、セシリアと一夏、翔の三人の写真を取る事になったのだが、闘った者同士が握手している写真が良い、と言い出して、セシリアと翔が握手している写真を取る瞬間に千冬が乱入し翔と一夏の手を入れ替えるなどの事件が起こった以外は比較的平和に一夏のクラス代表就任おめでとうパーティは終了した。
そしてこれは余談だが、誰かに会議を押し付けられ、会議で決まった内容を纏めておくようにと言われた山田教諭が泣いていたとかいないとか……。


「おい、翔、聞いたか、二組に転入生が来たらしいぞ?」

 授業が終了した休み時間、何時ものように自らの席に後ろを向いて座り、今日の話の種を翔へと撒いていく。その話の種に翔は食いつくが、焦りも驚きもその表情には見えない。

「む、転入生か、まぁ、転入してくるぐらいだからな、それなりの実力者だとは予測できるな」

 試験自体国の推薦がないと受けられない筈だからな、と言いつつ翔が転入の条件を頭から掘り出そうとしていると、翔と一夏の会話を聞きつけてか、セシリアがその輪に入ってくる。

「なんでも中国の代表候補生らしいですわ」

 そう言うと面白そうにセシリアは、ふふっ、と笑う。

「私の存在を危ぶんでの転入、と言う理由はどうでしょうか?」
「君には確かに才能はあるが、それは無いから安心していろ」

 それなりに辛らつな翔のコメントに、セシリアも冗談で言ったのだろう、全然気にせずに、まぁ、ひどい、と言いながら笑っていた。

「このクラスに転入してくるわけではないのだ、そう気にする必要も無いだろう」

 自然な流れで会話に入ってくる箒。昼休みに入ると、大体このメンバーで話をしている場合が多い。たまに一夏と翔だけだったり、箒かセシリアどちらかがいなかったりするが、大体この形で休み時間をすごしている。

「代表候補生か、どんな奴なんだろうな……」

 一夏のふと呟いたその言葉に、箒の眉尻がピクリと反応する。一夏の中ではふと気になったほんの些細な疑問なのだろう。だがそれがいくらほんの些細なものでも、それを聞く人物にとってはそんな事はどうでもよくなり、その言葉自体が問題である事など、この日本の中でも数え切れないほどにある。今回は一夏がそのケースに当てはまるらしい。

「気になるのか?」

 その言葉の中に少しではあるが、怒気がある事を悟れるなら、一夏はこの時自分の発言に気をつけた事だろう。

「え? まぁ、少しはな……」

 一夏の言葉に、箒の眉は完璧に釣り上がり、怒ったように言葉を投げかけられる。

「今のお前に女子を気にしている余裕などないぞ! 来月にはクラス対抗戦があるんだからな!」

 言っている内容は最もなのだが、怒鳴られるとは思っていなかったのか、一夏は釈然としない思いを抱えながらも頷く事しか出来ない。

「翔さんは、代表候補生、気になりまして?」

 一夏と箒のやり取りを見ながら、翔の返答が半ば予想出来つつも気になったので聞いてみるセシリアに、特に感情もブレも無く返答する翔。こちらは逆にあちらと違って静かなものである。

「何を気にする事がある、もし闘う事になるなら誰であろうと斬り捨てるのみ」

 らしい翔の返答に、そうでしたわね、と笑うセシリア。本当に静かなものである。セシリアが前へ進んだ結果と言う可能性もあるが、翔がそう言う事を気にする性格ではない事も理由として挙げられる。

「まぁ、そこまでにしておけ、箒」

 見ているのも飽きたのか、一夏に助け舟を出す翔に、しかし、師匠! と反論の声を上げる箒だが、それはセシリアに止められる。

「まぁまぁ、篠ノ之さん、織斑さんにとって今必要なのは実戦経験ですわ、それを積む為にも篠ノ之さんが織斑さんを鍛えてあげればよろしいではないですか」

 手が足りないのなら手伝いますわよ? と言わんばかりのセシリアに、封殺された箒は納得できずとも頷く事しか出来ない。丸め込まれた形になった箒は首を傾げるが、気にしない事にしたようで、一夏に放課後の訓練を約束させる。

「まぁ、確かに実戦経験は必要だしなぁ」

 一夏の声に答えるのは、箒でもセシリアでも翔でもなく、クラスメイトの女子生徒達だった。

「そうだよー、織斑君には是が非でも勝ってもらわないと!」
「優勝商品は学食デザート半年フリーパス券! それもクラス全員分!」
「織斑君が勝つとクラス全員が幸せだよー」

 そう言って盛り上がる女子生徒達の勢いに圧され、首を縦に振る事しか出来ない一夏。この時押しに弱い自分を思わず殴りたくなった、と一夏は後々思う。

「まぁ、うちには専用機持ちが三人もいるし」
「楽勝だよ! ね? 織斑君」

 まぁ、内一人は基本動作もままならないけどな、ってそれ俺じゃん! などと心の中で自虐に走りながらも、激励してくるクラスメイトに表情を取り繕いながら一つ頷く。それなら何とか……と思いかけていた一夏の幻想を砕く事になる存在がそこに現れる事になる……

「その情報、古いよ」

 その声が聞こえてきたのは教室の入り口の方から、そちらの方へ視線が集中し、声の主の姿が視界に入る。

「えっ? その声……」
「二組も専用機持ちがクラス代表になったの、そう簡単には勝てないよ」

 ツインテールと勝気なツリ気味の瞳が印象的な少女、一夏と翔には見覚えのありすぎるシルエットの人物がそこに立っていた。

「お前……鈴、鈴か!?」

 そう言って立ち上がる一夏に、箒の眉尻はピクリと動くだけでは飽き足らず、ぴくぴくと痙攣しているように動いている。

「む、久しぶりに聞く名前だな」

 翔のその台詞に、今度はセシリアの目が怪訝な目付きに変わる。知り合いである事は分かったが、どのような関係の知り合いなのか見極めようと、自体を静観する姿勢のようだ。

「久しぶりね……一夏、翔」
「久しぶりだなぁ、鈴」
「うむ、久しぶりだ、元気そうだな、鈴音」

 箒は一夏へ厳しい視線を向け、セシリアは翔と鈴音に探るような視線を向ける。一夏は箒の視線に気付かず、翔はセシリアの視線に気が付いてはいるが、害は無いと判断し、スルー。
クラス対抗戦は、来月……。


「所で、このクラスの代表って、まさか、翔?」

 そう問いかけてくる鈴音に首を振る翔。その瞬間全力のガッツポーズを決める鈴音。

「おっしゃあ! これで勝つる!」
「落ち着け、鈴音、言語がおかしくなっているぞ」

 翔の指摘にはっ、と気が付く鈴音。そんな様子の幼馴染に一夏はため息を吐く。

「まだ翔と闘うの怖いのかよ……」
「当たり前でしょ! 普通でも闘いたくないってのに、IS装着したらアタシなんか真っ二つよ! 真っ二つ!」

 その台詞に、む、と押し黙る翔。何故かこの会話に関係なかったはずのセシリアは、会話の何処かでトラウマにでも触れたのか、青い顔で真っ二つ……と呟いていた。
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