九電「再稼働へ全力」 株主総会、2年連続の無配陳謝
沖縄電力を除く大手電力9社の株主総会が26日、各地で一斉に開かれた。福岡市であった九州電力の総会では、原発停止に伴う赤字継続で年間配当を2年連続で見送ることについて、瓜生道明社長が「深くおわび申し上げます」と陳謝。原子力規制委員会の優先審査を受け、全国で最も早く再稼働する可能性が高い川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)と、玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)の早期再稼働に向けて「国の審査に全力を挙げて対応してまいります」と強調し、理解を求めた。
会社側は2013年度事業報告で、昨年4月以降に電気料金を値上げしたものの、原発再稼働が想定より遅れ火力発電燃料費の増大で連結純損益が960億円の赤字となったことを説明。経営安定化に向け、議決権がない「優先株」を日本政策投資銀行に発行し1千億円の資本増強を行うことを報告。関連の定款変更議案を提出、承認された。
質疑では、株主から原発に依存する経営姿勢や、無配が続くことへの批判があった。株主からは、原発再稼働について「実効性ある避難計画が策定されたと判断されるまでしない」とする定款変更案など5議案が事前に提出されたが、いずれも取締役会が反対しており、否決。総会は閉会した。
総会には午前11時現在、昨年の同時刻より102人少ない573人が出席。会場のホテル周辺では、脱原発を訴える市民団体などがデモ行進するなどし、再稼働阻止などを呼び掛けた。
大手電力9社の株主総会には、過去に一度も株主提案がなかった北陸電力を含め、全社で脱原発を求める株主提案が出された。事前の株主提案は9社で計69件に達し、原発再稼働に向けて原子力規制委員会の審査が進む中、脱原発の声が根強いことを示した形となった。
=2014/06/26付 西日本新聞夕刊=