【動画】裸より涼しい?空調服=若松真平撮影
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 あ~、暑い。まだ梅雨なのに……。扇風機を身につけて歩けないかな、なんてことを考えていて思い出したのが「空調服」。売り文句は「裸より涼しい」。そういえば、10年ほど前に同僚が着ていた。まだ売っているのかとネットで検索すると、品切れ続出となっている! さっそく、埼玉県戸田市にある株式会社「空調服」を訪ねた。

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 JR埼京線の戸田公園駅から徒歩10分。3階建てビルに「空調服」の看板が掲げてある。この日のために同僚から借りた、青いジャンパー型の空調服を着込んで、市ケ谷弘司社長(66)に話を聞いた。

 「あっ、空調服お持ちなんですか? でも、フロントのジッパーはちょっと開けた方が風が抜けていいんですよ。ちょっと失礼。こんな感じですね」

 いきなり着こなしを指導されてしまった。もちろん市ケ谷さんも空調服姿だ。エアコンの入っていない部屋で2人きり。会話が途切れると、「ウィーン」という空調服に取り付けられたファンの回転音が響き渡る。6月中旬の雨上がりの蒸し暑い日だったが、2時間近く取材していても暑いと感じることはなかった。

 空調服の構造はいたってシンプル。腰の左右に取り付けられた二つのファンを電池で回転させ、服の内部に風を送り込む。汗が蒸発する際の気化熱で体を冷やす仕組みだ。

 「汗をかいても、それが蒸発しなければ体を冷やすことはできません。それを手助けするシステムが空調服なのです」

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 正直な話、街中で空調服を着ている人を見かけたことはない。でも、ネット上で売り切れ続出となっている。その理由を尋ねると、意外な答えが返ってきた。

 「一般ユーザー向けというより、玄人向けなんです。主に建築現場などで作業する方が購入されています」

 なるほど、道理で見かけないわけだ。暑くても外で作業せざるを得ない人向けに開発したのか。ところで、どうして現場で支持されているのか?

 「一番は作業効率のアップです。汗をかく量が減ることで、それまで3リットル飲んでいた水が1リットルに減ったとか、作業ミスが減ったり、ケガが少なくなって社会保険料の企業負担が減ったり。一度使った方は、ほぼ100%リピーターになっていただいています」