集団的自衛権:公明の意見集約が難航

毎日新聞 2014年06月26日 07時00分(最終更新 06月26日 08時06分)

公明党の山口代表(左)と安倍首相
公明党の山口代表(左)と安倍首相

 ◇「全国県代表協議会」を閣議決定前に

 集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更の閣議決定を巡り、公明党執行部と所属議員のせめぎ合いが続いている。党執行部は閣議決定の核となる自衛権発動「新3要件」の修正案を大筋で容認。これに対し、25日の党内会合では依然、異論が相次いだ。来春に統一地方選を控える地方組織にも慎重論が根強く、党執行部は28日に地方代表を東京都内に緊急招集し、政府・自民党との協議内容を説明する。【高本耕太、田所柳子】

 公明党執行部は25日の幹部会で、28日に全都道府県の代表らを招集し、集団的自衛権の行使容認に向けた現状を説明する方針を確認した。地方代表による「全国県代表協議会」は国会終了後の定例行事。今年は7月5日に予定しているが、「4日の閣議決定後になると、執行部批判が続出しかねない」(党幹部)と懸念が出て、急きょ2回に分けて説明の場を設けることになった。

 一方、党所属国会議員が参加した25日の会合では、出席者から「新3要件で修正された『明白な危険』はあいまいで、行使容認の歯止めにならない」「今は認められていない先制攻撃も可能になるのではないか」と改めて異論が続出した。

 党執行部は当初、今週中の意見集約を狙ったが、党所属議員や地方組織に「丁寧に説明する」(幹部)ため、執行部への一任を取り付ける時期を来週に先送りした。与党協議の座長代理を務める北側一雄副代表は記者団に対し、27日までに意見集約するのは困難との認識を強調。これに伴い、正式な与党合意も来週前半にずれ込む見通しだ。

 党執行部は「連立離脱」カードを早々に封印しており、集団的自衛権行使容認の「ブレーキ役」としての役割をアピールする方針。しかし、山口那津男代表がこだわった過去の政府見解との「論理的な整合性」もあいまいなまま、首相の「期限ありき」の要求に応じることに対し「出来レース」(党関係者)と批判する声も上がっている。

 公明党内からは「平和の党は死んだ」「どうせ何を言っても聞かない」など、党執行部への不満が募る。今後、地方組織からも執行部批判が相次いだ場合、政府・与党が描く与党合意や閣議決定のスケジュールが狂う可能性も残っている。

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