仮設劣化、補修に本腰 被災3県、復興遅れ入居長期化
東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県が、プレハブ仮設住宅の老朽化対策に乗りだしている。復興まちづくりや住宅再建の遅れから、被災者の長期入居が避けられない情勢になっているためだ。建物は一部で劣化が始まっており、3県はこまめな補修で施設の延命を図る。(鈴木拓也)
最も積極的に対策を進めるのは岩手県。本年度から年2回の定期点検に加え、モデル事業として県沿岸部の仮設住宅を試験修繕する。
計画では、被災者が居住している仮設住宅1、2棟を対象に実施する。今夏をめどに床などを直し、入居者の負担や修繕費用を調べる。点検内容を精査し、他の物件への適否を判断する。
福島県は昨年12月からことし1月にかけ、全棟を対象に一斉点検を行った。軽微な屋外スロープの損傷などを中心に、3月末までに約2100件の補修工事を発注した。
本年度も福島市のNPO法人に点検業務を委託している。県建築住宅課の担当者は「点検と修繕を繰り返して老朽化に対応したい」と話す。
宮城県も本格的な修繕への備えを進める。特に地中に埋まった基礎部分の木杭(くい)は腐食の進み具合が分かりにくいといい、効果的な点検方法を模索する。
災害救助法では仮設住宅の入居期間を原則2年以内としているが、阪神大震災では全ての仮設住宅の閉鎖は発生から5年後だった。今回はさらなる長期化が見込まれる。
背景には被災地での住宅整備の遅れがある。福島県は災害公営住宅の建設が間に合わないとして、仮設の入居期間を16年3月まで延長した。宮城、岩手両県も同時期までに高台移転などが完了するめどは立たないのが実情だ。
仮設住宅建設を仲介した一般社団法人プレハブ建築協会(東京)の担当者は「物件は長期利用を想定しておらず、耐久年数は立地環境に左右される。東北では結露が激しかったと聞いており、資材の腐食が進む可能性がある」と指摘している。
◎4万3796戸に9万人超/3月末
[プレハブ仮設住宅]復興庁などによると、ことし3月末現在、3県のプレハブ仮設住宅の入居戸数は4万3796戸。約9万3000人が住む。震災後に完成した被災3県のプレハブ仮設住宅の総戸数は計5万2803戸で、自宅再建や災害公営住宅の完成で入居戸数は減少している。
2014年06月26日木曜日