保護者に期待と戸惑い 武雄・小1プログラミング教育
2014年06月26日 11時27分
小学校1年生を対象に武雄市が新たに打ち出したプログラミング教育。「これが武雄市内だけでなく全国に広がればいい。ロールモデル(手本)になるよう力を合わせたい」。25日の会見で樋渡啓祐市長はこう強調した。全小学生へのタブレット端末配布、家庭での予習を前提にした反転授業の導入、官民一体型学校の計画と矢継ぎ早に教育改革を進める中での新たな取り組み。保護者には期待の一方、戸惑いが広がった。文部科学省も「注目して見ていく」という今回の産学官の一手に関心が集まる。
共同で実証研究を担うディー・エヌ・エー(DeNA)創設者の南場智子取締役は会見で「グローバルに通用する人材になるためには母国語と英語とプログラミング言語が必要。コンピューターでものをつくる作法である言語を幼少の時から学べば圧倒的に吸収力が違う」と小学1年に導入する意義を語った。
導入される山内西小1年の保護者には期待と不安が交錯する。母親の一人は「学力は伸ばしたいので、これもその一つになればいい。子どもにとってタブレットは楽しそうだけど、授業についていけるかは不安」と話した。別の母親は「学校からプログラミング教育についてのプリントをもらったけど、てっきりスマイル学習(反転授業)を1年生から始めるのかと思っていた」とし、「よく分からないし、もっと説明がほしい。興味を持てる子はいいけど、そうでない子はどうなるだろうか」と不安を口にした。
ICTの利活用に詳しい佐賀大学文化教育学部の中村隆敏教授(教育工学)は「クリエーティブな人材を育てることへのニーズが高まる中、従来の学校教育が手をつけてこなかった分野に取り組む点では一定の評価はできる」と説明した。企業や大学が子どもたちを対象にしたプログラミング体験授業を実施する動きが広まっているという。
同学部の川上泰彦准教授(教育行政学)は「おもしろい試みだが、プログラミングはあくまで表現技術の一つ。表現しようとする中身こそが肝心で、同時に子どもの発想力を育てることも欠かせない。小学校1年生は読み書きする力が発展途上の段階で、どちらも中途半端ということにならない工夫が求められる」と注文をつけた。